化学辞典 第2版 「渡環反応」の解説
渡環反応
トカンハンノウ
transannular reaction
中員環状化合物にみられる反応で,単環から双環に変化する反応をいう.たとえば,6-ブロモシクロデセンをメタノリシスすると3種類の生成物の混合物が得られる.
(1)は置換反応生成物,
(2)は脱離反応生成物,
に相当する.しかし,
(3)は置換とともに単環から双環化合物に変化しており,このような反応を渡環反応という.これは Br- の脱離に際し,生成したカルボカチオンに二重結合のπ電子系から電子が供給され,新しい結合が生じるとともにカチオンが移動し,その位置で置換反応が起こったと解釈される.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報