二重結合(読み)ニジュウケツゴウ(その他表記)double bond

翻訳|double bond

デジタル大辞泉 「二重結合」の意味・読み・例文・類語

にじゅう‐けつごう〔ニヂユウケツガフ〕【二重結合】

2個の原子がふつう二つ共有結合によって結合していること。2本線の価標「=」で表し、例えばエチレンCH2=CH2のように示す。

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精選版 日本国語大辞典 「二重結合」の意味・読み・例文・類語

にじゅう‐けつごうニヂュウケツガフ【二重結合】

  1. 〘 名詞 〙 共有結合において、二個の電子対をもつ二つの原子価によって結合しているものをいう。構造式の中では二個の点「:」または二本の線「=」で表わす。エチレン結合など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二重結合」の意味・わかりやすい解説

二重結合
にじゅうけつごう
double bond

化学結合の状態の一つ水素分子は2個の水素原子から1個ずつ電子を出し合って単結合形成しているが、酸素分子は酸素原子の最外殻電子二つが共有されて分子を形成している。一般に共有結合において、2個の電子からなる化学結合を単結合、4個の電子からなる化学結合を二重結合という。ここで、酸素原子の最外殻にあるpx電子どうしでできる結合はσ(シグマ)結合であり、第二の結合はpz電子どうしでできるπ(パイ)結合である。エチレンの炭素どうしの結合も二重結合である(このようにC=Cの二重結合をとくにエチレン結合という)。この場合は、sp2混成軌道どうしからなるσ結合と、分子平面に垂直なpz軌道からなるπ結合とによって二重結合ができる。

 二重結合は、2個の原子間に2本の価線をつけて表すことがある。二重結合は反応性に富む。同じ原子どうしの結合距離を比較すると、単結合のほうが長い。

[下沢 隆]


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改訂新版 世界大百科事典 「二重結合」の意味・わかりやすい解説

二重結合 (にじゅうけつごう)
double bond

分子内の原子間に2種類の共有結合が共存している結合。典型的な例として,エチレンCH2=CH2分子のC=C結合をみると,炭素原子の4個の価電子のうち3個はsp3混成軌道にはいって,その一つが隣の炭素原子との間のσ結合の形成に関与している。価電子の残りの一つは2pz軌道(pπ軌道)にはいっている。2pz軌道は,三つのsp3混成軌道ののびている方向を含む平面と直交する方向にのびているが,隣り合う炭素原子の2pz軌道どうしの重なり合いがあるので,炭素原子間にπ結合が形成される。すなわち,エチレンの炭素原子間の結合は1個のσ結合と1個のπ結合からなる二重結合である。一般に,二つの原子が一重結合で結ばれているときより,二重結合で結ばれているときのほうが原子間距離は小さく,結合エネルギーが大きい。一重結合のまわりの分子内回転は比較的自由であるが,二重結合の場合には,結合している二つの原子のpz軌道が互いに平行なときに重なりが最大であり,互いに直交すると重なりがゼロになるので,分子内回転に伴うπ結合の変化が著しく,そのために分子内回転が強く束縛されることになる。二重結合と一重結合が交互に多数並んでいる分子では,π結合が固定されていると考えるより,非局在化されて,π電子共役系を形成していると考えたほうが適切である。
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化学辞典 第2版 「二重結合」の解説

二重結合
ニジュウケツゴウ
double bond

2原子が互いに2本の原子価結合線で結ばれている化学結合.通常の二重結合は2個の共有結合によっており,その一方はσ結合,他方はπ結合である.二重結合をしている2原子が,それぞれほかの原子と結合しているとき,これらの原子はすべて同一面内にあり,π結合の電子雲はこの面の上下に分布する.そのため,二重結合では結合軸のまわりの回転は自由ではなく,幾何異性の現象がみられる.二重結合の結合間隔は単結合の間隔より短い.たとえば,C-C結合は0.154 nm であるが,C=C結合では0.134 nm である.結合エネルギーも二重結合のほうが大きいが,単結合の2倍よりは小さい.たとえば,C-C結合は355.6 kJ mol-1 であるが,C=C結合では619 kJ mol-1 である.二重結合が単結合と交互につながって共役二重結合をつくると,共鳴により単なる二重結合とは違った性質がみられるようになる.単結合の長さは二重結合に近づき,二重結合は単結合に近づく.とくにいちじるしい例としてはベンゼンがあげられる.ベンゼン環では単結合と二重結合の区別はまったくなく,全部のC-C結合が0.140 nm で,ほぼ単結合と二重結合の中間の長さになっている.

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百科事典マイペディア 「二重結合」の意味・わかりやすい解説

二重結合【にじゅうけつごう】

二つの原子間の共有結合で,二つの電子対によって結合しているものをいう。構造式では>C=C<,>C=O,>C=N−,−N=N−,−N=Oなどのように2本の線で表すことが多い。炭素どうしの二重結合をエチレン結合という。三重結合の場合と同様に,二重結合における二つの結合は等価なものではなく,一つはσ結合,他の一つはπ結合で,単結合の場合より結合距離が短い。またこのπ結合のため,二重結合位では付加反応が起こりやすい。→共役二重結合
→関連項目化学結合不飽和化合物飽和化合物有機半導体

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二重結合」の意味・わかりやすい解説

二重結合
にじゅうけつごう
double bond

多原子分子において,2個の原子が互いに2つの原子価によって結合している場合,この結合を二重結合という。通常の二重結合は2個の共有結合 (σ結合π結合 ) で構成されており,構造式では2本の線で表わされる。反応性に富み,たとえば炭素-炭素二重結合は付加反応を起しやすく,水素添加すれば飽和化合物になる。

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栄養・生化学辞典 「二重結合」の解説

二重結合

 化合物の中の二つの原子が2本の原子価結合線で結ばれている結合.例えば,エチレンのCH2=CH2にみられる炭素と炭素の間の結合.

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