化学辞典 第2版 「温度散乱」の解説
温度散乱
オンドサンラン
thermal scattering, temperature scattering
結晶により回折したX線や粒子線は,完全結晶による回折に対応する鋭いブラッグ反射と,緩やかな強度分布をもつ散漫散乱によるものとからなる.後者は結晶格子の乱れに起因するもので,そのうち,とくに熱振動により結晶中の各原子が平衡位置のまわりに振動することによる格子の乱れによるものを温度散乱という.温度散乱の強度分布を測定することにより,熱振動のモードやその結晶の弾性的性質などを知ることができる.散漫散乱には,温度散乱のほかに原子配列の無秩序に起因するものもある.[別用語参照]X線散乱,温度因子
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報