木、竹、金属などを直角に碁盤目(ごばんめ)に組んだもの。組格子ともいう。古くは子(かくし)とよんだ。建具では蔀(しとみ)や引違い戸、あるいは嵌殺(はめころ)しとして用いられた。桟の間を透かすものや、裏に薄板を張るものもある。本来、格子は碁盤目に組み、これを狐(きつね)格子というが、一般には竪桟(たてざん)を密にし横桟を粗くしたものも格子とよぶ。竪桟あるいは横桟だけのものを連子(れんじ)といい、前者を竪連子、後者を横連子という。連子も中桟を入れることもある。連子を板に彫り出して形式的にしたものを盲連子(めくられんじ)という。
格子は近世になって採光通風と盗難防止を兼ねて、民家の正面に盛んに取り付けられた。格子は形式によっていろいろの名称がある。京都の町屋にみられるような竪子(たてこ)の細く横桟の少ない京格子、太い角材を並べた問屋(といや)格子、丸太を半割りにして丸みを正面にみせる丸太格子、細い格子を密に並べた江市屋(えいちや)格子、千本格子、1本あるいは2本置きに長短の竪桟を交互に入れた親子格子、横桟の間に取り外せる小格子を入れた大阪格子など、その種類は多い。また、格子戸も、碁盤目の木連(きづれ)格子戸、横桟の少ない連子格子戸、竪桟を2本ずつ並べた吹寄(ふきよせ)格子戸、等間隔に細く並べた小間返し連子格子戸など各種あって、部屋の使い方によって使い分けられている。
[工藤圭章]
科学の用語としては周期的構造の物体を意味する。光学で波長の測定に使う回折格子は、ガラスまたは金属の表面に多数の等間隔な平行線を引いたもので(1センチメートル当り1万本以上も)、一次元格子の例である。縦・横に編んだ織物や金網は二次元格子の例である。糸や針金は互いに直交する必要はなく、格子の単位は、六角形でも、より複雑な形でもよい。形のそろったミカンを整然と箱に詰めたものは、三次元格子の例といえる。結晶中の原子は三次元空間に周期的に並んでいるから、みごとな三次元格子である。現実の格子は、完全に周期的ではなく、所々に格子欠陥をもっている。
電気工学で格子(グリッド)とよぶのは、本来は三極真空管の網状電極を意味したが、今日ではその形状に関係なく、それに相当する役割の電極をさす。
[上田良二・外村 彰]
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…例えば図7のaは大円で表した原子と,その向かって左下側にある小円の原子との1組で構成単位を形成して,この単位が前後・左右・上下にそれぞれの方向ごとに定まったある間隔で繰り返して互いに平行に並んでいる結晶構造を示す。
[結晶格子]
これらの単位は図7のaに便宜的に描いた破線の枠に従って配列しているとみることができるので,bのようにこの枠(これを空間格子,結晶格子あるいは単に格子という)を取り出して,それが限りない広がりをもつと理想化して考えることにする。bの前後・左右・上下の3線の交点を格子点という。…
…〈蔀〉の語義は〈ひよけ〉〈おおい〉であり,《和名抄》でも〈暖をおおい,光をさえぎるもの〉としている。現在では格子に板を張ったもの,あるいは板を表裏から格子ではさんだものを蔀と呼んでいるが,古くはこれを〈格子〉と呼び,格子を組まず板だけのものを蔀と呼んで区別していたようである。たとえば平安末期の平清盛の六波羅泉殿寝殿では南面を格子とし,北面には蔀を使用していた。…
※「格子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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