朝日日本歴史人物事典 「源頼実」の解説
源頼実
生年:長和4(1015)
平安中期の武官で歌人。頼国と播磨守藤原信理の娘の子。従五位下,左衛門尉。一時,罪を得て土佐国(高知県)に流されたことがある。若くして歌人としての才能を現し,長元8(1035)年,関白藤原頼通邸で催された「賀陽院水閣歌合」に蔵人所雑色で参加したのをはじめ多くの歌会に出席。歌道に熱心で,住吉社(大阪市の住吉大社)に参詣して1首の秀歌を詠むことができたなら命を召されてもよいと祈っているほどだ。その歌が『後拾遺和歌集』に採られた「木葉散る宿は聞きわくことそなき時雨ちる夜も時雨せぬ夜も」である。藤原範永・経衡,平棟仲,源兼長・頼家と並ぶ和歌六人党のひとりである。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報