ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パガン朝」の意味・わかりやすい解説
パガン(蒲甘)朝
パガンちょう
Pagan; Pugan
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中央ビルマ(現、ミャンマー)のパガンの地に、アノーヤター(在位1044~1077)によって樹立されたビルマ人最初の王朝。下ビルマのモン人を制圧し、イラワディ川、チンドウィン川の流域一帯を版図にし、当初はモン人の文化をそのまま受容したが、12世紀末にはビルマ文字もつくられ、独自の文化が開花した。この王朝時代は、上座部(小乗)仏教の信奉が社会生活の中心に置かれ、仏教寺院やパゴダの建立が盛んに行われ、また田畑やチュワン(一般農民で、身分的には隷属状態にあった)が寄進された。パガンの仏教建築物はおびただしい数に上り、そのため建寺王朝ともよばれる。13世紀前半には、セイロン(スリランカ)から直接教義の導入も行われた。このような仏寺の建立や、寄進による寺領地や寺領民の増大は財政の消耗と租税収入の減収を意味し、王室財政はしだいに悪化していった。こうして弱体化した王室に、1278年から4回に及び元(げん)軍が侵攻し、1287年には元に隷属することで王朝は事実上終った。
[伊東利勝]
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