滑出(読み)すべりいず

精選版 日本国語大辞典 「滑出」の意味・読み・例文・類語

すべり‐い・ず ‥いづ【滑出】

〘自ダ下二〙
① 静かに退出して外に出る。こっそりと抜け出す。
※竹取(9C末‐10C初)「日の暮ぬればすべり出給ぬ」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七「自分は次の間へ退(スベ)りいでて」
② にじるようにして、少しずつ前へ出る。いざって前へ出る。
蜻蛉(974頃)下「簀子にすべりいでて、おぼろなる月にあてて、ひさしうみていりぬ」
③ 生まれ出る。
浄瑠璃曾我会稽山(1718)一「風に乱るるさげ髪の、すべり出たは母の腹」

すべり‐・でる【滑出】

〘自ダ下一〙
① すべって外に出る。すべるようにして外に出る。
大道無門(1926)〈里見弴〉一番雞「ややぎごちないその言葉も、存外爽かに、嫌味なく滑(スベ)りでた」
② そっと座をはずす。静かに退出する。すべりいず。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「其間にお勢はこっそり起上(たちあが)って坐舗を滑り出ようとして」

すべり‐だし【滑出】

〘名〙
① すべり出すこと。すべり始めること。
※明日への楽園(1969)〈丸山健二〉一「船体が重い滑り出しをはじめたときだ」
物事最初。でだし。
往還の記(1963‐64)〈竹西寛子二一「『和泉式部日記』の冒頭は〈略〉いかにも劇的な美しい滑り出しである」

すべり‐だ・す【滑出】

〘自サ五(四)〙
① すべり始める。自然に抵抗なしに出る。
坑夫(1908)〈夏目漱石〉「『働いても、いいですが』答は何の苦もなく自分の口から滑(スベ)り出(ダ)して仕舞った」
② 物事が進行し始める。

ぬめり‐い・ず ‥いづ【滑出】

〘自ダ下二〙 すべるようになめらかに出る。しとやかに、練るようにして出る。
※浄瑠璃・源氏供養(1676)一「袖くらべぬめり出(イデ)て、御殿の端に立ならび」

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