日本大百科全書(ニッポニカ) 「火あぶり」の意味・わかりやすい解説
火あぶり
ひあぶり
罪人を焼き殺す刑。インド、古代エジプト、小アジアなど各地で行われた。ヨーロッパでは、ローマにおいてキリスト教徒の迫害に用いたことが有名であるが、ドイツ、フランスなどの大陸諸国やイギリスでも行われ、フランスでは大革命まで存続した。中国では、ごく古代にだけ行われた。日本では、戦国時代から江戸時代に行われ、江戸幕府は「火罪(かざい)」とよんだ。古くは、キリシタンなどにも科したが、のちに、火罪は付火(つけび)、すなわち放火にだけ科せられ、かならず引廻(ひきまわ)しが付加された。科人(とがにん)を柱に縛り付け、茅(かや)と薪(まき)で全身を覆って火をつける。死骸(しがい)はそのまま三日二夜晒(さら)された。
[石井良助]