火打野村(読み)ひうちのむら

日本歴史地名大系 「火打野村」の解説

火打野村
ひうちのむら

[現在地名]五條市火打町

吉野川南岸に所在。西は紀伊国伊都いと恋野こいの(現和歌山県橋本市)。元亨元年(一三二一)の火打野村定使竜善水田寄進状(火打町有文書)に「大和国宇智郡坂合辺郷火打野村字楢原新開(中略)右件水田者、今始所開新開也、而為在地安穏・鎮守興行、為高野山常光院御領火打野定使上座竜善計、永遠奉寄進鎮守八王子者也」とみえ、吉野川対岸の大沢おおさわ村、木原きのはら村にも火打、中火打、大沢火打、ヒウチだになどの小字が残る。

「扶桑略記」寛治二年(一〇八八)二月二三日条に白河太上天皇の高野山巡幸の際に「葛上(宇智カ)火打崎」行宮を営んだとあり、「高野山御幸記」天治元年(一一二四)一〇月二四日条にも鳥羽太上天皇が火打崎に到着、二五日に真土まつち坂を越え、高野山に参籠、二九日帰路再び火打崎に宿泊したとある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

メタン

化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また...

メタンの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android