参籠(読み)サンロウ

世界大百科事典 第2版の解説

さんろう【参籠】

神社や仏堂などへ参り,一定の期間昼も夜もそこに引き籠(こも)って神仏祈願すること。古来祭りに神を迎える際には一定の場所に忌み籠って身心を慎む聖別の過程があるが,参籠はこの籠りの儀礼がとくに個人的な祈願形式となって平安朝以来発達したもの。〈三日参籠〉(《太平記》),〈七日参籠〉(《白峯寺縁起》),〈百日参籠〉(《平家物語》)など日限をつけて参籠し,最終日を結願(満願)の日として神仏の効験(利生)があることを期待する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

参籠
さんろう

社寺堂に籠(こも)り、神仏に祈願すること。一昼夜(通夜(つや))、3日、7日、9日、14日、21日、33日、100日、1000日などの参籠期間中、礼拝、読経、称名、護摩焚(ごまた)き、水垢離(みずごり)行、断食をし、諸願の成就を図る。鎌倉初期に成立した『古事談』には、賀茂明神に一晩通夜した勢多尼上(せたのあまうえ)、伊勢内宮(ないくう)に3日間参籠した永頼(ながより)、白山権現(はくさんごんげん)に21日間参籠した日台(にったい)聖人、那智に1000日間籠った安倍晴明(あべのせいめい)の霊験譚(れいげんたん)が記されている。大津市の葛川(かつらがわ)明王院には参籠者が納めた木製の参籠札として中世のものが58点、近世のものが398点もある。その最古は元久1年(1204)6月の銘であり、同行7名の行者が10日間参籠し、そのうちの5日間、滝護摩8000枚を燃やしたとある。足利義満(よしみつ)、義尚(よしひさ)、日野富子(ひのとみこ)の参籠札もある。参籠は民間のお籠り行事に通じる。[赤田光男]
『元興寺仏教民俗資料研究所編・刊『明王院の碑伝』(1976) ▽柳田国男著「神道と民俗学」(『柳田国男全集 13』ちくま文庫)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

さん‐ろう【参籠】

〘名〙 神社や仏閣などに参り、一定の期間昼夜こもって祈願すること。おこもり。
※長秋記‐大治四年(1129)一一月二〇日「自明後日女院可籠広隆寺
※平家(13C前)一「われ当社に百日参籠の大願あり」

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世界大百科事典内の参籠の言及

【雑魚寝】より

…静岡県伊東市の音無神社の尻摘(しりつみ)祭として知られる11月10日の例祭は,暗やみのなかで祭典が行われ,神酒の杯を回すときに尻をつねって合図するのでこの名がある。一般におこもりとよばれるれる参籠は,修行僧などが堂宇にこもって神仏に祈願をこめる風習で,9世紀末から10世紀にかけて始まった。祭りの場でのおこもりは共同祈願のための物忌に服する忌籠(いみごもり)の祭りであったのが,後に暗やみに乗じて性的行事を伴ったものである。…

※「参籠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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