和歌山県北東部、伊都(いと)郡にある町。1928年(昭和3)町制施行。1958年(昭和33)富貴(ふき)村を編入。816年(弘仁7)弘法大師(こうぼうだいし)空海が高野山上に開いた真言密教の道場金剛峯寺(こんごうぶじ)を中心とした町で、大塔のある壇上から西の大門、東の大師廟(びょう)奥ノ院まで宿坊寺院や土産(みやげ)物店が並ぶ。山上には高野山大学がある。高野山町石道は国指定史跡。高野山町石道玉川峡県立自然公園に含まれる。2004年(平成16)金剛峯寺などが「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」として世界遺産(文化遺産)に登録された。南海電鉄高野線のほか国道370号、371号(高野龍神(りゅうじん)スカイライン)、480号が通じ、ケーブルカーが山上まで通じる。一帯は高野龍神国定公園に含まれる。町の産業は高野山を中心とした観光業のほか、レタスなどの近郊野菜栽培や林業が行われている。面積137.03平方キロメートル、人口2970(2020)。
[小池洋一]
広島県北東部、比婆郡(ひばぐん)にあった旧町名(高野町(ちょう))。現在は庄原市(しょうばらし)の一地区。旧高野町は1955年(昭和30)上高野山、下高野山の2村が合併して町制施行。2005年(平成17)庄原市に合併。国道432号が王貫峠(おうぬきだわ)を越えて島根県へ通じている。周囲は中国山地の脊梁(せきりょう)部をなす大万木山(おおよろぎさん)(1218メートル)、猿政(さるまさ)山などの山々がそびえ、山間の新市(しんいち)盆地が中心地で、江の川(ごうのかわ)の支流神野瀬(かんのせ)川が西流している。高冷地で雪も多く、水田単作地帯である。ダイコン、ホウレンソウ、リンゴ栽培などや畜産、林業などが行われる。旧町域南西部に高暮(こうぼ)ダムとその貯水池(神之瀬湖)がある。堀江家住宅は16世紀の建造とされる入母屋(いりもや)造農家で、国指定重要文化財。
[北川建次]
和歌山県北東部,伊都郡の町。人口3975(2010)。平均標高900mの高野山上に開けた仏教都市と1958年に編入された富貴の農山村部からなり,高野山は紀ノ川と有田川の分水嶺をなす。中心集落は9世紀に弘法大師空海が開山した真言宗の総本山金剛峯寺を中心に発展した門前町で,現在約120の宿坊寺院と町家が並ぶ。高野山は空海の命名で山上総寺院の山号でもある。明治までは女人禁制の地で高野七口には女人堂があった。南海電鉄高野線極楽橋駅で山上へのケーブルが接続する。参拝観光客を相手とする第3次産業が基幹産業で,宿泊施設は1万人を超す収容力を有する。富貴地区では野菜栽培が行われる。かつては山上の寒気を利用して高野豆腐が生産された。町域の大部分を森林が占め,林業にも依存する。高野山一帯は高野竜神国定公園に指定され,高野竜神スカイラインが通る。金剛峯寺,金剛三昧院をはじめ国宝・重要文化財に指定された多数の文化財がある。
執筆者:上田 雅子
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