高野(読み)タカノ

デジタル大辞泉 「高野」の意味・読み・例文・類語

たかの【高野】

姓氏の一。
[補説]「高野」姓の人物
高野岩三郎たかのいわさぶろう
高野素十たかのすじゅう
高野辰之たかのたつゆき
高野長英たかのちょうえい
高野房太郎たかのふさたろう
高野蘭亭たかのらんてい

こうや〔カウヤ〕【高野】

和歌山県高野山のこと。また、そこにある金剛峰寺こんごうぶじ真言宗弘法大師などをさす。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「高野」の意味・読み・例文・類語

こう‐やカウ‥【高野】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 周囲の平地より高い平野。高地にある平野。高原。
    2. ( 「髪(紙)を落とす」というところから高野山の高野にもじった語か。また、「かわや(厠)」の変化した語か ) 便所のこと。便所へ行くことをしゃれていう時に用いる。
      1. [初出の実例]「西浄をかう屋といふ事に二説あり。一にはかみををろすと云事じゃ。又一にはにほふといふ事じゃ」(出典:寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲口状之事)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 和歌山県の高野山。また、そこにある金剛峯寺や弘法大師、真言宗などをさしていう。
      1. [初出の実例]「寺は〈略〉高野は弘法大師の御栖かなるが哀なるなり」(出典:能因本枕(10C終)一九一)
    2. [ 二 ] 謡曲
      1. 観阿彌作曲。サシ・下歌(さげうた)・上歌(あげうた)の謡物。→高野の巻
      2. をもととして後人が能にしたてたもの。の謡物をサシ・クセの形式に変えて全体を整えている。
      3. こうやものぐるい(高野物狂)

たかの【高野・竹野】

  1. [ 一 ] 播磨国美嚢(みのう)郡の地名。現在の兵庫県三木市別所地区付近、美嚢川の下流域にあたる。
  2. [ 二 ] 福岡県久留米市田主丸(たぬしまる)町竹野(たけの)の古称。
  3. [ 三 ] 広島県庄原市の地名。中国山地にある積雪寒冷地。
  4. [ 四 ] 京都市左京区南部の地名。比叡山の西麓、高野川の流域にある。
  5. [ 五 ] 和歌山県の高野山のこと。
    1. [初出の実例]「仏寺五首 長き夜に朝日まつまの心にぞたかののおくにありあけの月」(出典:秋篠月清集(1204頃)百首)
  6. [ 六 ] 滋賀県栗東市の地名。
  7. [ 七 ] 滋賀県東近江市の地名。永源寺高野町。臨済宗永源寺派の大本山、永源寺がある。
  8. [ 八 ] 中世、下総国下河辺庄の地名。現在の埼玉県北葛飾郡栗橋町付近。

こうのカウの【高野・河野かうの・幸野】

  1. 姓氏の一つ

たかの【高野・鷹野】

  1. 姓氏の一つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高野」の意味・わかりやすい解説

高野(町)
こうや

和歌山県北東部、伊都(いと)郡にある町。1928年(昭和3)町制施行。1958年(昭和33)富貴(ふき)村を編入。816年(弘仁7)弘法大師(こうぼうだいし)空海が高野山上に開いた真言密教の道場金剛峯寺(こんごうぶじ)を中心とした町で、大塔のある壇上から西の大門、東の大師廟(びょう)奥ノ院まで宿坊寺院や土産(みやげ)物店が並ぶ。山上には高野山大学がある。高野山町石道は国指定史跡。高野山町石道玉川峡県立自然公園に含まれる。2004年(平成16)金剛峯寺などが「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」として世界遺産(文化遺産)に登録された。南海電鉄高野線のほか国道370号、371号(高野龍神(りゅうじん)スカイライン)、480号が通じ、ケーブルカーが山上まで通じる。一帯は高野龍神国定公園に含まれる。町の産業は高野山を中心とした観光業のほか、レタスなどの近郊野菜栽培や林業が行われている。面積137.03平方キロメートル、人口2970(2020)。

[小池洋一]



高野
たかの

広島県北東部、比婆郡(ひばぐん)にあった旧町名(高野町(ちょう))。現在は庄原市(しょうばらし)の一地区。旧高野町は1955年(昭和30)上高野山、下高野山の2村が合併して町制施行。2005年(平成17)庄原市に合併。国道432号が王貫峠(おうぬきだわ)を越えて島根県へ通じている。周囲は中国山地の脊梁(せきりょう)部をなす大万木山(おおよろぎさん)(1218メートル)、猿政(さるまさ)山などの山々がそびえ、山間の新市(しんいち)盆地が中心地で、江の川(ごうのかわ)の支流神野瀬(かんのせ)川が西流している。高冷地で雪も多く、水田単作地帯である。ダイコンホウレンソウリンゴ栽培などや畜産、林業などが行われる。旧町域南西部に高暮(こうぼ)ダムとその貯水池(神之瀬湖)がある。堀江家住宅は16世紀の建造とされる入母屋(いりもや)造農家で、国指定重要文化財。

[北川建次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「高野」の意味・わかりやすい解説

高野[町] (こうや)

和歌山県北東部,伊都郡の町。人口3975(2010)。平均標高900mの高野山上に開けた仏教都市と1958年に編入された富貴の農山村部からなり,高野山は紀ノ川と有田川の分水嶺をなす。中心集落は9世紀に弘法大師空海が開山した真言宗の総本山金剛峯寺を中心に発展した門前町で,現在約120の宿坊寺院と町家が並ぶ。高野山は空海の命名で山上総寺院の山号でもある。明治までは女人禁制の地で高野七口には女人堂があった。南海電鉄高野線極楽橋駅で山上へのケーブルが接続する。参拝観光客を相手とする第3次産業が基幹産業で,宿泊施設は1万人を超す収容力を有する。富貴地区では野菜栽培が行われる。かつては山上の寒気を利用して高野豆腐が生産された。町域の大部分を森林が占め,林業にも依存する。高野山一帯は高野竜神国定公園に指定され,高野竜神スカイラインが通る。金剛峯寺,金剛三昧院をはじめ国宝・重要文化財に指定された多数の文化財がある。
執筆者:


高野 (たかの)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「高野」の意味・わかりやすい解説

高野[町]【たかの】

広島県北部,島根県に接する比婆(ひば)郡の旧町。神野瀬(かんのせ)川が中部を西流,流域に中心集落新市(しんいち)がある。積雪が多く,米の単作地域に属し,野菜,肉牛,リンゴなども産する。2005年3月甲奴郡総領町,比婆郡西城町,東城町,口和町と,比和庄原市へ編入。159.18km2。2519人(2003)。

高野[町]【こうや】

和歌山県北東部,高野山一帯を占める伊都(いと)郡の町。主集落は金剛峯寺の門前町で,古来信徒の参拝でにぎわう。南海電鉄高野線,高野竜神スカイラインが通じ,高野竜神国定公園に属し観光客も多い。スギ,ヒノキの良材を産し,苗木栽培も盛ん。2004年紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産条約の文化遺産リストに登録された(金剛峯寺,熊野参詣道,高野山町石道)。137.03km2。3975人(2010)。
→関連項目高野山大学

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高野」の意味・わかりやすい解説

高野
たかの

広島県北東部,庄原市北西部の旧町域。島根県と境を接する中国山地内にある。 1955年上高野山村と下高野山村が合体して町制。 2005年庄原市,総領町,西城町,東城町,口和町,比和町の1市5町と合体して庄原市となった。冬季の積雪が多く,年間を通して三次市や庄原市街地からの交通は不便であるが,神野瀬川の高暮ダムには訪れる人が多い。米,高冷地野菜,果樹が生産される。国指定重要文化財の堀江家住宅がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android