火炎文(読み)かえんもん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「火炎文」の意味・わかりやすい解説

火炎文
かえんもん

燃え上がる炎をかたどった文様古代社会では火は神聖視され、悪霊防御に用いられるなど、火に対する信仰古くから世界各地にみられる。火炎文にはこういった呪術(じゅじゅつ)的な意味が託されており、たとえば中国では漢代以後、竜(りゅう)、虎(とら)、獅子(しし)など、獣の文様に火炎文をつけ呪力を備えた獣を表現したものがある。日本の平安時代における蛮絵(ばんえ)も、この流れをくんだ文様であると考えられる。

 また仏教美術にもこれが取り入れられ、仏像の光背には、火炎文を含んだ美しいものがみられる。

村元雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の火炎文の言及

【文様】より

…それは単に彫刻,絵画,建築などに従属するものではないのである。
【モティーフの分類】
 文様はそのモティーフの種類によって大別すると,幾何学文,動物文,植物文,人物文,自然現象に関するもの(天象の日月星辰文,雲文,水波文,火焰文,山岳文など),文字文などがあげられる。さらにこれらのいくつかを組み合わせた狩猟文や風景文などもある。…

※「火炎文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む