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蛮絵 ばんえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

蛮絵
ばんえ

盤絵とも書く。古くは外国の使臣客と称し,外国系統の鳥獣文を蛮絵といった。草花や鳥獣を丸い形に文様化して木版に陽刻し,墨で布地に摺ったり縫取りにした。平安時代以降,おもに近衛随身褐衣 (かちえ) や,舞楽の歌方の (ほう) に用いられた。

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デジタル大辞泉の解説

ばん‐え〔‐ヱ〕【蛮絵/盤絵】

鳥獣・草花などの形を丸く図案化した文様。近衛の随身の褐衣(かちえ)、舞楽の装束、調度などに用いられた。
(蛮絵)「南蛮絵」の略。

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世界大百科事典 第2版の解説

ばんえ【蛮絵】

特殊な袍(ほう∥うえのきぬ)に用いた文様の名称。火炎を吐く獅子,熊または鳥の円文を摺文(すりもん)や繡(ぬい)で袍の表と背にあらわしたもの。武家装束のうち兵衛府随身に用いた布袍は,左近衛左衛門には獅子円文,右近衛右衛門は熊円文,兵衛には鴛鴦円文をつけ,兵衛を兼ねたものは獅子,熊いずれを用いてもよいことになっていた。また舞楽装束のうちにも蛮絵装束があった。伶人(れいじん)は兵衛府の官人がなる例であったので,その制服のままただちに舞踏したからであろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蛮絵
ばんえ

草花、鳥獣などのモチーフを丸く円文風にまとめた模様。摺(す)りや繍(ぬ)いで表した装束の蛮絵が、今日もっともよく知られているが、『類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)』に「御調度蛮絵螺鈿沃懸地(らでんいかけじ)」、あるいは『今昔物語』に「蛮絵に蒔(ま)きたる硯(すずり)の箱の蓋(ふた)」とあり、調度品の蒔絵(まきえ)模様としても用いられた。また『延喜式(えんぎしき)』に「蛮絵下食盤四口」という記事があり、この名称はすでに平安前期から用いられていたことが知られるが、その字義については諸説があり、明らかでない。しかし、この種の円文はササン朝ペルシアに数多くみられるもので、おそらく西方の蛮国から伝わった模様という意味に、この模様の形式が丸い盤形であるのを懸けて蛮絵とよんだのではなかろうか。遺品としては、教王護国寺蔵・舎利会装束中の獅子(しし)と熊の蛮絵を摺文で表した麻袍(あさのほう)(鎌倉時代)が有名である。村元雄]

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世界大百科事典内の蛮絵の言及

【褐衣】より

…定まった色はなく檜皮(ひわだ)色,紫,紺,鈍(にび)などの色が用いられたようである。これにはまた蛮絵(ばんえ)といって,丸い形に模様化された鳥獣の紋を袖につけることが行われた。〈蛮絵の袍(ほう)〉といわれるものがこれである。…

【染色】より

…また絞染も結染(ゆいぞめ),括染(くくりぞめ)あるいは目結(めゆい),目染などと呼ばれ,引き続き行われたが,かつて盛んであった纈は姿をひそめてしまった。その代り摺染が下級者の文様表現として愛好され,それは後世に蛮絵(ばんえ)と呼ばれる技法に発展している。おもしろいのは牛飼いなど下級者の晴れの狩衣に,裏形というものが用いられたことである。…

※「蛮絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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