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古代社会 こだいしゃかいancient society

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

古代社会
こだいしゃかい
ancient society

L.H.モーガンのように原始社会 (原始共同体の社会) を古代社会と呼ぶ場合があるが,一般的には原始共同体の解体のうえに生じた奴隷制を特徴とする社会をいい,ギリシア,ローマのいわゆる「古典古代」がその代表的形態とみられている。その特徴は私的土地所有と私的経営の成熟にあるが,同時に公有地の維持,管理に必要な義務負担もある。しかも絶えずそれを拡張していかざるをえず,侵略戦争を繰返すことになる。したがって自由民は戦士であり,共同体国家 (典型的には都国家) は戦士組織でもあり,戦争の成果は,土地と奴隷と産物の獲得をもたらし,奴隷による農耕や手工業が展開された。もちろん,古代社会にも原始共同体から持越された共同体的土地占取の様式や種族的結合の紐帯や弛緩の度合いによっていくつかの形態がみられる。古典古代を典型としながらも,種族共同体的なアジア的な形態から,のちの中世封建社会にまで発展したほとんど地縁的,村落的な形態を示すにすぎないゲルマン的形態にいたるまで多様である。日本の古代社会は2~3世紀の卑弥呼 (ひみこ) の時代から,平安時代を経て,鎌倉幕府によって前期封建制が成立するまで続いたとみてよいであろう。

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百科事典マイペディアの解説

古代社会【こだいしゃかい】

L.H.モーガンの著書。《Ancient Society》。1877年刊。親族名称手掛りに,それに相応する婚姻・家族制度を再構成して,人類の文化が野蛮・未開文明時代へと進化してきたことを述べる。

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世界大百科事典 第2版の解説

こだいしゃかい【古代社会】

日本の原始・古代の社会は,採取漁労狩猟の社会から,水田耕作を中心とする農耕社会へと発展し,農耕社会の基盤の上に古代の文明が形成された。先土器時代縄文時代とは採取,漁労,狩猟を中心とする労働によって営まれた時代であり,弥生時代以後は農耕を中心にする社会である。日本の原始・古代の社会は大きくはこの二つの段階にわけられ,文明や社会的な階級,国家形成は後者の段階の社会における歴史的発展の中で行われたものである。

こだいしゃかい【古代社会 Ancient Society】

アメリカ文化人類学の先駆者ともいうべきL.H.モーガンの主著(1877)。社会進化論の代表的著作で,あらゆる人類社会は進化の速度はちがっても画一的な段階を通過するという一線進化論の立場から書かれた。その内容は,古典資料のほかモーガン自身の広範なアメリカ・インディアン社会の現地調査,および世界各地のキリスト教宣教師らの報告を参照している点で,当時としては出色のものであった。彼は発展段階を〈野蛮〉〈未開〉〈文明〉の三つに分け,各段階における家族・婚姻形態,財産所有制度,政治体制等を考察した。

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大辞林 第三版の解説

こだいしゃかい【古代社会】

L = H =モーガン著。1877年刊。野蛮(savagery)・未開(barbarism)の段階を経て文明(civilization)に至る人類の進歩の過程を記したもの。

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世界大百科事典内の古代社会の言及

【家族】より

… 19世紀末から20世紀にかけてのこの時期は,同時に生物学的進化論が隆盛をきわめた時代でもあり,家族論はこの影響を濃厚に受けて,家族の諸類型を進化論的系列に並べて理解しようとする試みが多く現れた。その典型がL.H.モーガンで,彼は《古代社会》(1877)において,婚姻形態を原始乱婚制からもっとも進化した一夫一婦制に至る数段階に配列し,家族形態もそれに対応させた。この仮説の基礎になっている親族名称の分析は,人類学史上画期的なものとされ,さらにエンゲルスの《家族,私有財産および国家の起源》(1884)にそのまま踏襲されて大きな影響力を振るった。…

【原始共産制】より

…しかし種族は,ヨーロッパ人の記憶にまだ新しくかつ旧約聖書に知られた家族形態すなわち家父長制家族の拡大したものと考えられ,したがってこの原始的共産制は,婦人・子どもの家父への隷属,および奴隷制をともなうものと考えられた(エンゲルス《反デューリング論》1878)。L.H.モーガンの《古代社会》(1877)は,血縁にもとづく自然的共同体(氏族,部族)こそ本源的な人間の社会的結合であり,夫婦という非血縁関係を中核とする家族は,第2次的な関係で,しかも本来の血縁共同体に対立し,その解体にともなって成長してくる新しい関係であること,血縁共同体は本来は母系制であることを示した。これによれば原始共産制は婦人の隷属も奴隷制も知らない真の平等社会ということになる(エンゲルス《家族,私有財産および国家の起源》1884)。…

【氏族制度】より

…しかるにこの方法を進めていくと,これまで氏族の名でよばれてきた組織は,けっして首尾一貫した単一な原理によって形成された固定的なものではなく,むしろその構造原理において,いくつかのカテゴリーに類別しうる多様な組織の総称であり,かつこれらのカテゴリー相互の間には,容易に一方から他方に変化しうる流動性の存することが見いだされるのである。
【研究史と問題の所在】
 人類史における氏族制度の意義をはじめて体系的に明らかにしたのは,L.H.モーガンの《古代社会》(1877)である。モーガンは多年にわたり,みずから北アメリカ東部のイロコイ諸族の中に入って調査にあたったが,ここに発見した母系の氏族制度がイロコイ諸族の社会に占める大きな役割に対してひじょうな興味をおぼえ,この種の形態を,文明のはるか以前,人類進化の初期に生まれた原始的な氏族制度の典型と考えた。…

【モーガン】より

…また《人類の血族と姻族の諸体系Systems of Consanguinity and Affinity of the Human Family》(1871)は人類学調査におけるテーマとしての親族組織の重要性を明らかにし,とくに親族用語を記述的用語と分類的用語に分けて考察することの必要性を指摘した。人類は,その起源と経験と進歩において一つだという前提に立つモーガンは,蒙昧から野蛮の段階をへて文明段階に至るという文化進化の一大図式を《古代社会》(1877)の中で提出した。この図式はエンゲルスの《家族,私有財産および国家の起源》(1884)に借用され,マルクス主義史観に影響を及ぼした。…

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