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仏教美術 ぶっきょうびじゅつ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仏教美術
ぶっきょうびじゅつ

仏教の思想や信仰に基づいて制作された礼拝対象や,その荘厳のための建築,彫刻,絵画,工芸などの造形美術の総称。起源は前3世紀頃で,古代インドで釈迦の入滅後約 100年頃から,当時急速に起こったストゥーパ (仏塔) 信仰によって,神聖な仏塔をめぐる欄楯 (らんじゅん) や塔門を種々な文様や,ジャータカ仏伝図などの浮彫で飾ることが行なわれた。

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デジタル大辞泉の解説

ぶっきょう‐びじゅつ〔ブツケウ‐〕【仏教美術】

仏教信仰に基づいてつくられた造形美術。堂塔伽藍(どうとうがらん)・仏像彫刻仏教絵画・仏具など。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶっきょうびじゅつ【仏教美術】

仏教はインドの釈迦によって紀元前5世紀に開かれ,一は南海をへて東南アジアに伝わり,他は中央アジアから中国,朝鮮をへて日本に達する。長い歳月をかけてアジアの広大な地域に伝播しただけに,そこに展開する仏教美術は多彩をきわめ,その変化の諸相に幻惑されるほどである。仏教は本来釈迦を起点として展開するものだけに,それ自体有機的な発展をとげたものである。古来〈仏〉〈法〉〈僧〉の三宝(さんぼう)は仏教の基本大系であり,時・空間を超えた広がりをもつ仏教美術もまた,これを軸として考えると,統一的にとらえることができるだろう。

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大辞林 第三版の解説

ぶっきょうびじゅつ【仏教美術】

仏像彫刻・仏画・寺院建築など、仏教に関する美術。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仏教美術
ぶっきょうびじゅつ

仏教の思想や信仰に基づいて、仏教独自の崇拝や儀礼、ないし教化活動の必要からつくりだされたいっさいの造形美術で、西欧のキリスト教美術と双璧(そうへき)をなす。仏教の起源がインドであるところから、仏教美術もその発生はインドであり、中国、朝鮮を経て日本にも及び、それぞれ独自の展開を示した。その多彩な展開のうち、中心をなす「仏塔」「仏教建築」「仏像」「仏画」については、それぞれの項目に詳述してある。
 宗祖釈迦(しゃか)の死は紀元前485年ないし前383年ごろと考えられており、生存時すでに造形的行為があったかもしれないが、現在その遺品は残っていない。入滅後、その遺骨(舎利)は多くの信者によって分けられ、各地に持ち帰られて手厚く葬られた。その舎利を納める塔(ストゥーパ=卒塔婆(そとうば))が初期仏教美術の重要なモニュメントであり、塔自体やそれを巡る垣などには、釈迦の前生の物語である本生譚(ほんしょうたん)と仏伝を主題にした彫刻を施して荘厳(しょうごん)した。原始仏教では偶像崇拝を認めず、したがって仏陀(ぶっだ)の姿を造形化することなく、宝座、法輪、仏足跡、菩提樹(ぼだいじゅ)などで象徴的に表した。釈迦そのものを造形的に表現するようになるのは、紀元後1世紀末か2世紀の初めごろインド北部のガンダーラ地方といわれる。この地にはクシャン朝のカニシカ王(2世紀中ごろ)の時代を中心にインド・ギリシア式ともいうべきガンダーラ美術が栄え、寺院の建立、仏像の制作は空前絶後の盛況をみせた。一方、中部のマトゥラには純インド式のマトゥラ美術が生まれ、以後、釈迦の像をはじめ諸尊像の造像は全インドから国外にも及ぶに至ったのである。
 仏教美術の流れを宗派別にみると、大乗美術、密教美術、浄土教美術に区分することができる。大乗仏教は釈迦入滅後に形骸(けいがい)化した伝統仏教に対し、紀元1世紀におこった革新運動で、人間救済を目ざし、釈迦の存在を超人格化して多くの仏を生み、仏菩薩(ぼさつ)など諸尊像をもつようになる。大乗に対する小乗仏教は伝統仏教の立場にたって、苦行による悟りと自己救済を目的とした。したがって、仏像はほとんど釈迦像に限られ、仏塔中心で、荘厳も本生譚、仏伝図が多く、北方仏教諸国の前期美術、およびセイロン(スリランカ)や東南アジアの南方仏教(上座部系仏教)諸国のものがこれにあたる。大乗仏教は北方ルートをたどり、中国、朝鮮、日本で盛行し、やがて密教美術を生んだ。密教美術に対することばとして顕教美術があり、日本では密教以前の、奈良仏教美術をさす。しかし、普通、小乗美術、顕教美術の語はあまり用いられない。
 密教美術は4世紀ごろ、インドのナーランダ地方でおこり、インド古来のバラモン教の思想をも取り入れたもので、日本には平安初期に空海によって伝えられた。密教は室内での祈祷(きとう)を主とし、即身成仏、現世利益(げんぜりやく)を目的とするところから、千手観音(せんじゅかんのん)、不動明王など多面多臂(たひ)の異様な尊形や、怒髪忿怒(どはつふんぬ)相といった密教特有の菩薩像を生み、内容的にも表現上でも変化と複雑さを加えた。また『華厳(けごん)経』の説く壮大な宇宙観を表す曼荼羅(まんだら)図が描かれた。
 平安時代には、仏滅後訪れるという末法思想が強く仏教徒の心をとらえ、末法第一年とされた1052年(永承7)を境に浄土信仰は急速に発達。阿弥陀(あみだ)信仰が広まり、弥陀の極楽浄土を描く来迎(らいごう)阿弥陀が盛行した。
 また、密教と日本の神との神仏混淆(こんこう)思想の結果、本地垂迹(ほんじすいじゃく)美術が生まれた。日吉(ひえ)、熊野、春日(かすが)社の本地仏として釈迦、阿弥陀、不空羂索(ふくうけんじゃく)などが祀(まつ)られ、また山岳信仰と結び付いて蔵王権現(ざおうごんげん)のような修験(しゅげん)道の尊像がつくられたのはその例である。
 鎌倉時代の初めに栄西(えいさい)による臨済禅、道元による曹洞(そうとう)禅、さらに江戸時代には隠元による黄檗(おうばく)禅が伝えられたが、禅宗では「不立(ふりゅう)文字、見性(けんしょう)成仏」を唱えたので仏像の造像は衰退するに至った。しかし師資(しし)相承を重んずるため、宗祖菩提達磨(だるま)をはじめとする祖師像や、直接の師の肖像である頂相(ちんそう)が尊重され、多くの迫真の画像・彫像がつくられた。また、禅の悟りの様相を描いた水墨による禅機画が描かれ、これから室町時代の日本独自の水墨画の世界が形成されていった。
 このように、日本の造形美術は仏教を原動力として大きな発展を遂げた。たとえば庭園にしても、その造形の基本に自然即仏土といえる仏教教理があり、これが自然崇拝の精神と結び付いて、日本独自の造形表現に達したのである。仏教美術のなかで磨き抜かれた日本人の美的感覚は、仏教が衰退した近世から現代に至るまで、日本人の生活のなかに根強く受け継がれているのである。[永井信一]

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世界大百科事典内の仏教美術の言及

【魏晋南北朝美術】より

…だがいずれにしても,この時代の遺品の数はきわめて乏しく,王羲之の《喪乱帖》,顧愷之の《女史箴図》といった後世模本,あるいは南京西善橋南朝墓の竹林七賢と栄啓期図磚画,太原市南郊の北斉婁叡墓壁画などの墳墓出土資料を通してうかがうしか手はないのである。 ところで,魏晋南北朝美術を支えたいま一つは仏教美術である。仏教は後漢の明帝のころに伝わったといわれるが,後漢末のホリンゴール(和林格爾)漢墓沂南(ぎなん)画像石墓では,仏教図像が中国古来の西王母などの神仙にまじって表され,伝来当初における仏教受容のありさまが知れる。…

【宗教美術】より

…これは本来的な意味で宗教美術とはいいがたい。東洋では前3世紀ころから始まった仏教美術においては,釈迦はしばらく人間の形をもっては表現されず,象徴(仏足跡,蓮華,法輪,菩提樹,仏塔など)によってその存在が示されただけであった。その理由はユダヤ教やイスラムなどの場合と同様であったろうと思われる。…

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