災害ボランティア(読み)さいがいぼらんてぃあ

共同通信ニュース用語解説 「災害ボランティア」の解説

災害ボランティア

被災地に入り家屋の片付けや泥かきなどを無償で行う人々。被災者の心のケアなど活躍の幅が広がっており存在感が増している。「ボランティア元年」と呼ばれた1995年の阪神大震災人材と支援ニーズを結ぶ仕組みがなく現場混乱。その教訓から各地の社会福祉協議会が「災害ボランティアセンター」を開設し、調整に当たる仕組みが構築された。交通費など経費負担の大きさも課題で、自治体や関連団体が助成するケースもある。

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知恵蔵 「災害ボランティア」の解説

災害ボランティア

ボランティアとは、英語で「自発的な」という意味の「voluntary(ボランタリー)」、ラテン語で「自由意志」を意味する「voluntas(ボランタス)」が語源とされ、自ら進んで奉仕活動をする人、することを指す。無償で行うものを指すのが普通だが、元々の言葉の意味には有償か無償かといったことが含まれていたわけではない。
そのなかで「災害ボランティア」は、地震火山噴火水害などの自然災害が起こった地域の住民を助けるために行うものを指す。古くから自然災害の際に被害を受けた人を助けることは行われていたと考えられるが、特に注目を浴びるようになったのは、1995年1月17日に起こった阪神・淡路大震災から。被災地に130万人を超えるボランティアが駆けつけ、この年は日本の「ボランティア元年」と言われている。
2011年3月11日の東日本大震災は、更に大きな範囲、規模の災害となったが、阪神に比べて駆けつけるのが難しいという立地条件や、被災地側が受け入れ態勢を整えることに時間を要したことなどもあり、同年7月の時点で約57万人(ボランティアセンターなどに届け出た人のみの数)がボランティアに従事したと報告されている。また、被災した宮城、岩手、福島の3県のうち、原子力発電所事故の影響が心配される福島県へ向かうボランティアの数が極端に少ないという傾向がある。
災害ボランティアの仕事内容は、被災の状況や時期によって変わり、多岐にわたる。大震災の場合、直後はがれきの撤去や、壊れた家具などの処分や掃除、炊き出しなど避難所での業務。仮設住宅への入居が始まれば、その引っ越しの手伝いなども出てくる。子どもの遊び相手や、悩みの聞き役といった仕事が求められる場合もある。医療関係の資格はもちろん、法律や美容理容などの資格を生かしてボランティアをする人も多い。
近年では、社会貢献の一環としてボランティア休暇を認める企業が出てきたり、文部科学省から各大学への要請もあり震災ボランティアを行うことでの単位認定の例も出てきたりしている。

(菘(すずな)あつこ  フリーランス・ライター / 2011年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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