普及版 字通 「烝」の読み・字形・画数・意味
烝
10画
[字訓] むす・すすめる・おおい・きみ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 形声
声符は丞(じよう)。〔説文〕十上に「火气、上行するなり」とあり、蒸気のこもることをいう。それで衆多の意となり、〔詩、大雅、烝民〕「天、烝民を生ず」のようにいう。金文に(じよう)の字があり、〔大盂鼎(だいうてい)〕に「四方に(きみ)たらしめよ」とあり、字はまた祭名にも用いていて、烝と声義が同じ。〔詩、周頌、豊年〕に「(そひ)に烝(じようひ)す」は進める意で、字の義にあたる。丞は人をすくいあげる形で救拯の意であるから、下に火を加えるはずはなく、字はがその初文であろう。
[訓義]
1. むす、むれる。
2. すすめる、のぼせる、本字は。
3. おおい、もろもろ、烝民。
4. きみ、うるわしい。
5. 冬祭の名。
6. 身分のある婦人を犯す、上。
7. 仍と通じ、よる、しきりに。
[古辞書の訓]
〔和名抄〕烝 師、无之毛乃(むしもの)〔名義抄〕烝 ムス・フスボル・アツシ・マツリ・スミヤカニ/烝哉 キミナルカナ
[声系]
〔説文〕に烝声として(蒸)・の二字を収める。は麻の繊維を蒸してとりだす意。五上は「蠡(れい)なり」と訓するが、あるいは金文にみえると関係があるかもしれない。ただその声は丞zjing、烝・tjingとkingと全く異なり、の声義の関係が明らかでない。
[熟語]
烝▶・烝▶・烝雲▶・烝▶・烝享▶・烝羔▶・烝祭▶・烝熟▶・烝庶▶・烝嘗▶・烝食▶・烝薪▶・烝薦▶・烝然▶・烝徒▶・烝冬▶・烝熱▶・烝▶・烝餠▶・烝報▶・烝民▶・烝乱▶・烝黎▶
[下接語]
鬱烝・雲烝・炎烝・烟烝・気烝・熏烝・春烝・上烝・爛烝・竜烝・黎烝
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報