改訂新版 世界大百科事典 「無限大無限小」の意味・わかりやすい解説
無限大・無限小 (むげんだいむげんしょう)
infinitum (infinity), infinitesimal
実数全体に,+∞,-∞と書く新しい二つの要素をつけ加えて,それぞれ正の無限大,負の無限大と名付け,すべての実数aに対して-∞<a<+∞なる大小関係を規約する。+∞を単に∞と書き,無限大と呼ぶこともある。実数列{xn}があって,n→∞のとき,xn→∞となるならばxnは(正の)無限大になるといい,xn→-∞となるならばxnは負の無限大になるといい,またxn→0となるならばxnは無限小になるという。xnが正または負の無限大になるならば1/xnは無限小となる。n→∞のときxn→∞,yn→∞であって,しかもxn/yn→∞ならばxnはynより高位の無限大であるといい,xn/ynとyn/xnがともに有界ならば,xnとynとは同位の無限大であるという。n→∞のときxn→0,yn→0であって,しかもxn/yn→0ならば,xnはynより高位の無限小であるといい,xn/ynとyn/xnがともに有界ならばxnとynとは同位の無限小であるという。実数値関数f(x)があって,x→a(aは実数でも+∞あるいは-∞でもよい)のとき,f(x)→∞となるならば,f(x)は無限大になるといい,f(x)→-∞となるならば,f(x)は負の無限大になるといい,また,f(x)→0となるならばf(x)は無限小となるという。x→aのときf(x)→∞,g(x)→∞となる場合に,これらについて高位または同位の無限大という関係が数列の場合と同様に定義され,また,f(x)→0,g(x)→0となる場合に,これらについて高位または同位の無限小という関係も数列の場合と同様に定義される。例えば,x→∞のときexはx2より高位の無限大であり,exとcosh xとは同位の無限大である。また,x→0のとき1-cos xはxより高位の無限小であり,1-cos xとx2とは同位の無限小である。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報