出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…音楽もこうした台本に適応するものが要求される。さらに,アリア,二重唱,合唱など独立した楽曲に番号を付した従来の番号オペラ制を廃止し,各幕は1幕ないし1場を通じて音楽が切れ目なく進行し(無限旋律),歌はアリアとレチタティーボの中間の様式(アリオーソ)で書かれる。ライトモティーフが効果的に多用され,大管弦楽は単なる伴奏ではなく,歌と一体となって交響曲を思わせる有機的な展開を示す。…
…純音楽的な秩序づけの方法には,動機や音型の対照・反復・変奏・発展などが挙げられる。西洋の古典派音楽では旋律の規則的な分節性が好まれたが,ロマン派になるとむしろ不規則な構造が多くなり,R.ワーグナーのように反復や分節を意識的に避けた無限旋律unendliche Melodieを主張する者もいた。 19世紀の音楽美学者E.ハンスリックが旋律を〈音楽美の基本形態〉と称したように,近代の西洋音楽では旋律的創意が天才の最も顕著な証しと考えられ,旋律創造の才能は合理的説明が困難な天与の才とされた。…
…管弦楽は人物や想念などに結びつけられたライトモティーフを奏して,劇の表現に参加する。またワーグナー自身が〈無限旋律〉と名づけた様式によって,音の流れが中断されず,劇の進展を助ける。また楽劇においては和声の表現能力が拡大され,管弦楽編成は大規模となり,表現の幅の広さ,繊細さにおいて,従来のオペラでは知られない能力を獲得した。…
※「無限旋律」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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