精選版 日本国語大辞典 「然有べし」の意味・読み・例文・類語
さる【然有】 べし
- ( 「さるべき」の形で連体詞的に用いることが多い )
- ① 適当である。ちょうどよい。相応である。
- [初出の実例]「まだいと若くなむある。いまさるべからむ折にをといひければ」(出典:大和物語(947‐957頃)五八)
- 「さらば、まかりて、さるべきさまにて参らん」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
- ② そうなるのが当然である。そうあるはずである。
- [初出の実例]「いかではつかに見むと思へど、さるべき折もなし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
- ③ そうなる因縁である。そうなる運命である。
- [初出の実例]「めざましげに、もてなされにしかば、安からず思ひ給へしかど、さるべきにこそはとて、世に、けがれたりともおぼし捨つまじきを頼みにて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
- ④ 立派である。相当である。れっきとしている。
- [初出の実例]「受領などの家に、さるべき所の下部(しもべ)などの来て」(出典:枕草子(10C終)九五)
- ⑤ しかじかである。
- [初出の実例]「たのみつる人の、かうのみなど、思ひみだるれば、しばしばとぶらふ。さるべきやうありて、雲林院に候し人なり」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)