雲林院(読み)ウンリンイン

デジタル大辞泉 「雲林院」の意味・読み・例文・類語

うんりんいん〔ウンリンヰン〕【雲林院】

謡曲三番目四番目物金春こんぱる以外の各流。伊勢物語を愛読する芦屋公光きんみつ霊夢によって雲林院に行くと、在原業平の霊に会う。
うりんいん(雲林院)

うりん‐いん〔‐ヰン〕【雲林院】

京都市北区紫野にあった天台宗の寺。はじめ、淳和じゅんな天皇の離宮で紫野院と称したが、のち、元慶寺別院となった。その後、臨済宗大徳寺に属したが、廃寺。うんりんいん。うじい。

うじい〔ウジヰ〕【雲林院】

うりんいん(雲林院)

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精選版 日本国語大辞典 「雲林院」の意味・読み・例文・類語

うりん‐いん‥ヰン【雲林院】

  1. ( 「うんりんいん」の変化した語 )
  2. [ 一 ] 京都市北区紫野にあった寺院。もと淳和天皇の離宮で紫野院と称し、のちに雲林院と改め、元慶八年(八八四僧正遍昭の請で、天台宗元慶寺の別院となる。後醍醐天皇のときに、禅宗大徳寺に属した。歌枕や謡曲の舞台として著名。うりゅういん。うんりんいん。うんりゅういん。うじい。
  3. [ 二 ] 京都市北区紫野雲林院町にある臨済宗大徳派の寺。[ 一 ]の名を継承再興。

うんりん‐いん‥ヰン【雲林院】

  1. [ 一 ]うりんいん(雲林院)
    1. [初出の実例]「ヤウヤウ ト シテ Vnrinyn(ウンリンイン)ト ユウ トコロ エ ヲチ ツイテ」(出典:天草本平家(1592)一)
  2. [ 二 ] 謡曲。四番目物。観世宝生金剛喜多流作者不詳。在原業平の霊が「伊勢物語」の秘事を語るという筋。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲林院」の意味・わかりやすい解説

雲林院(うんりんいん 能)
うんりんいん

能の曲目。四番目物、または三番目物にも扱う。観世、宝生(ほうしょう)、金剛、喜多の四流現行曲。世阿弥(ぜあみ)による古作の改作であるが、現行の曲は世阿弥以後の改作。雲林院を訪れた『伊勢(いせ)物語』マニア(ワキ)の前に老人(前シテ)が現れ、桜に関する歌問答のすえ、在原業平(ありわらのなりひら)であることを暗示して消える前段、業平の亡霊(後シテ)が殿上人(てんじょうびと)の姿で登場し、二条の后(きさき)との恋を物語り、美しい叙情を舞う後段が現行の形である。世阿弥自筆本が残されているが、後半に二条の后と、その兄の藤原基経(もとつね)が鬼の姿で現れる全然違った内容で、中世に流行した『伊勢物語』に関する口伝の立体化という色彩がいっそう強い。世阿弥本による復活上演は、1982年(昭和57)8世観世銕之丞(てつのじょう)ほかの手で実現した。

[増田正造]


雲林院(うりんいん 京都市)
うりんいん

「うんりんいん」ともいう。京都市紫野大徳寺の南にあった寺。現在、雲林院(うじい)の地名として残っている。淳和(じゅんな)天皇の離宮雲林亭が、仁明(にんみょう)天皇の離宮となり、第7皇子常康親王に与えられた。親王はのち出家し、死去に際して天台の教えを伝えるように、法眼(ほうげん)遍昭(へんじょう)(のちに僧正)に付嘱(ふしょく)した。遍昭は元慶寺(がんけいじ)の別院とし、仁明天皇の忌日には『金光明経(こんこうみょうきょう)』を、安居(あんご)の九旬の間には『法華経(ほけきょう)』を講じさせることとした。のち、遍昭の子少僧都(しょうそうず)由性(ゆいしょう)が別当となった。サクラ、紅葉の名所として知られ、古来、多くの和歌に詠まれた。歴史物語『大鏡(おおかがみ)』は、当寺の菩提講(ぼだいこう)(5月に『法華経』を講ずる)に詣でた老人たちと若侍の対話を記録した形をとっている。

[田村晃祐]


雲林院(うんりんいん 京都市)
うんりんいん

雲林院

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改訂新版 世界大百科事典 「雲林院」の意味・わかりやすい解説

雲林院 (うりんいん)

かつて京都大徳寺の南にあった大寺。もとは淳和天皇の離宮紫野院。869年(貞観11),遍昭僧正が寺に改め,平安・鎌倉時代に天台の官寺として栄えた。そのころ当寺は菩提講と花の名所で有名で,《今昔物語集》《大鏡》の題材となり,また《古今集》以下の歌集で歌の名所となった。在原業平が《伊勢物語》の筋を夢で語る謡曲《雲林院(うんりんいん)》の舞台にもなったが,やがて当寺は応仁の乱で廃絶した。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「雲林院」の解説

雲林院
うりんいん

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
延宝1.11(京・夷屋座)

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世界大百科事典(旧版)内の雲林院の言及

【雲林院】より

…そのころ当寺は菩提講と花の名所で有名で,《今昔物語集》《大鏡》の題材となり,また《古今集》以下の歌集で歌の名所となった。在原業平が《伊勢物語》の筋を夢で語る謡曲《雲林院(うんりんいん)》の舞台にもなったが,やがて当寺は応仁の乱で廃絶した。【藤井 学】。…

【紫野】より

…船岡山の西,往古葬送地として知られた蓮台野も紫野の一部であった。大徳寺の地にあった雲林(うりん)院は,はじめ淳和天皇の離宮として創建され,紫野院と称された。【奥村 恒哉】。…

※「雲林院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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