デジタル大辞泉
「因縁」の意味・読み・例文・類語
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いん‐ねん‥エン【因縁】
- 〘 名詞 〙 ( 「いんえん」の連声 )
- ① 仏語。結果を引き起こす直接の内的原因である因と、それを外から助ける間接的原因である縁。仏教ではすべての生滅はこの二つの力によると説く。
- [初出の実例]「従二化城喩品一以下訖二授学無学人記品一、明二宿世因縁一広開三顕一」(出典:法華義疏(7C前)方便品)
- ② 仏語。四縁の一つ。因としての縁。果を生ずる直接の内的原因。
- ③ 「じゅうにいんねん(十二因縁)」の略。
- [初出の実例]「因縁四諦、広略異レ名」(出典:守護国界章(818)上)
- ④ 仏語。仏と結縁(けちえん)させるもの。仏道修行を励ますもの。
- [初出の実例]「逝者平生常帰弟子、造次不忘、是大因縁也」(出典:権記‐長保元年(999)八月二六日)
- ⑤ 前世からの定まった運命、関係。転じて、何らかのつながりを有すること。縁。ゆかり。特に姻戚にあたること。また、その人。
- [初出の実例]「両府督或因縁、或近親也」(出典:九暦‐逸文・天暦四年(950)七月二三日)
- 「その孫、人のはらにやどるまじきものなれど、この日のもとの国に契むすべるいんえむあるによりて、その果報豊かなるべし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- ⑥ ( ━する ) ある状態をひきおこす原因になること。また、その原因。理由。わけ。
- [初出の実例]「師を召す因縁は、葦原の国に有りて行基菩薩を誹謗(そし)る。その罪を滅さむが為の故に、請け召すのみ」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
- 「創作の時代は招て直に来る者にあらず、其来るや深く国家百般の情況に因縁す」(出典:批評論(1888)〈大西祝〉)
- ⑦ ( ━する ) 根本や由来を探究し解明しようとすること。
- [初出の実例]「然而至四其因三縁道之義於二細席一也、則豈得レ無レ説乎」(出典:出定後語(1745)序)
- ⑧ 来歴。由来。いわれ。
- [初出の実例]「わしがはあこの六部になった因縁(インネン)のうかたり申べいが」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)
- ⑨ いいがかり。文句。無理な理由。→因縁をつける
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因縁 (いんねん)
いんえんの音便。仏教では,すべてのものごとが生起したり,消滅したりするには必ず原因があるとし,生滅に直接関係するものを因と言い,因を助けて結果を生じさせる間接的な条件を縁として区別するが,実際に何が因で何が縁であるかをはっきり分かつ基準があるわけではない。因縁は〈因と縁〉と〈因としての縁〉の二通りに解釈されるが,この両者を一括して縁と呼び,因縁によってものごとの生起することを縁起(えんぎ)とも言い,また,生じた結果を含めて因果(いんが)とも言う。因縁,縁起,因果は仏教教理の最も根本的な考え方であるが,必ずしも因から果へという時間的関係のみを意味するだけでなく,同時的な相互の依存関係,条件をも意味している。因縁は本来の意味からさらに広く,由来,来歴やものの道理の意味にも用いられるが,因縁を〈言いがかり〉の意味に用いたり,〈縁起が悪い〉というような言い方は,本来の意味からは遠くはなれている。
執筆者:井ノ口 泰淳
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普及版 字通
「因縁」の読み・字形・画数・意味
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因縁
いんねん
因と縁(えん)。直接に結果を生ずる「因」に対して、そのプロセスで間接的に働く諸条件を「縁」と称する。ときに因もしくは縁だけで、因と縁との両者をさすこともあり、また因縁といって一方をいう場合もある。仏教では、いっさいのものが因縁によって生じ、とどまり、変化し、滅すると考えて、他から干渉する超越的な作用を排除する。したがって、因に6種(六因)、縁に4種(四縁)、果に5種(五果)をたて、因―縁―果の分析はきわめて精密で鋭い。なお世界の諸思想史を眺めて、因の重視はあっても、縁に及ぶ深い考察は仏教のみといえよう。また縁は、因―果を積極的に助けるだけではなく、消極的に妨害しないというあり方も見逃してはならない。
[三枝充悳]
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因縁【いんねん】
仏教用語。因はある結果を生ずるための直接の原因。縁はその結果を生ぜしめる補助的条件。すべてのものは無数の因縁によって成立すると考えるので,因も縁も相対的なものであり,創造者のような特定の原因ではない。漢訳仏典では縁起と同様に用いられ,仏教文学の一形式の名称ともなっている。→十二因縁
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因縁
いんねん
仏教用語。直接原因である「因」と間接的原因である「縁」とをいう。仏教では,あらゆるものが因と縁とによって成立し,また破壊すると考え,これを因縁生 (いんねんしょう) などという。
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世界大百科事典(旧版)内の因縁の言及
【公案】より
…仏や祖師の説法,もしくは問答を指す。機縁,因縁,話頭,または単に話ともいう。宋初につくられる禅宗史書の一つ《景徳伝灯録》に,過去七仏より編者の時代に至る,1701人の仏祖の名を掲げ,その問答を伝法の順に集録することから,一千七百の公案という発想があらわれる。…
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