国指定史跡ガイド 「熊本藩川尻米蔵跡」の解説
くまもとはんかわしりこめぐらあと【熊本藩川尻米蔵跡】
熊本県熊本市川尻にある江戸時代の米蔵跡。指定名称は「熊本藩川尻米蔵跡 外城蔵跡(とじょうぐらあと) 船着場跡(ふなつきばあと)」。熊本市の南部に位置する川尻地区は、中世から緑川やその支流である加勢(かせ)川を利用した水運の拠点として栄えたところで、中国との貿易も行われ、本格的に整備された江戸時代以降は熊本藩の物流拠点となった。奉行所や御茶屋、蔵が設置されて、年貢米の集積や搬出が行われ、おもに藩の南部からの20万俵の米が蔵に納入され、大坂の蔵屋敷に運ばれた。また、御船手(おふなで)と呼ばれる藩の水軍基地でもあり、幕末に造られた木造平屋建ての蔵(外城蔵)2棟が現存している。13段の石段が約150mにわたって続く、16世紀末に整備された船着き場跡もあわせて残存するところは全国的にも貴重であり、2010年(平成22)、国の史跡に指定された。JR鹿児島本線ほか川尻駅から徒歩約12分。