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水運 すいうんwater transport

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

水運
すいうん
water transport

貨物の水上運送をいう。しかし狭義には淡水区域だけに限定していう場合もある。国際性の強い外航海運に対する内陸水運としては,沿岸航路,可航河川・湖沼,運河による3種類のものがあり,一般に,海岸線が長く,天然の良港に恵まれ,港湾・河口都市が発達したイギリスや日本などでは早くから沿岸航路による内陸水運が重要な内陸交通手段として発達し,運河の建設や内陸河川の改修が比較的等閑に付されたが,海岸線が短く,主要都市を内陸にかかえる大陸国家では河川・湖沼,運河などによる内陸水運が重要な内陸交通手段として発達した。在来の内陸水運が技術的にすぐれた鉄道の発達の影響を受けたのち,第2次世界大戦後は,港湾や内陸河川・湖沼,運河の建設改修工事のための内陸における作業船需要が増大,船舶技術が進歩し船の能力も高度化して,フェリーボート,コンテナ船,ラッシュ船,プッシャーバージ・ラインなどにみられるような貨物船-特殊船 (作業船) -自動車,外航船-内航船-作業船などが相互に結びついて一体となった,水運における新しい複合一貫運送が出現した。さらに,エアクッション艇や水中翼船などの新しい運送機関が出現することによって,水運が運送全体のなかで受持つ分野と比重は非常に広く高いものとなった。

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世界大百科事典 第2版の解説

すいうん【水運】

ここでいう水運は,海上交通すなわち海運と河川交通すなわち内陸水運をあわせ含んだ水上交通を指す。水運の歴史は古く世界の各地域によりその様相を異にする。日本,中国,ヨーロッパ,イスラム世界の水運の発達と展開を以下に記述する。なお,19世紀以降のグローバルな網の目をもつに至った海運業については〈海運業〉の項を参照されたい。
【日本の水運】
 周囲を海に囲まれている日本では,古来水運,とくに海上交通が発達したが,東国よりも,海岸線の屈曲が多く良港に恵まれた西国地方において,その依存度が高かった。

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大辞林 第三版の解説

すいうん【水運】

水路を用いて船で人や物を運ぶこと。 → 陸運海運

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水運
すいうん

河海(かかい)・湖沼などの水路を利用し、船や筏(いかだ)で人や貨物を運ぶこと。川や湖沼での内陸水運と海での海運の総称。臨海地域間や水路での連絡が陸路より容易である地域での利便性、あるいは陸運に比べ1度に大量の物資や重量のある物資をより早く遠距離まで運ぶことが可能であるという効率性から、水運は人や物資、情報の移動に重要な役割を果たした。古代には調(ちょう)・庸(よう)・雑物(ぞうもつ)、舂米(しょうまい)などの官物輸送が主体で、国衙(こくが)の港である国(府)津(こ(く・う)づ)から官船や雇用された民間船により京の外港へと運ばれた。『延喜式』には臨海諸国から平安京への海路行程や漕賃に関する規定がみえる。10世紀以降、輸送の主体は荘園・公領からの貢納物となり、国衙、郡衙の津以外にも荘園・公領内や近隣の港が利用されるようになった。大宰府の外港那津(なのつ)(のちの博多津)、平安京や平城京の外港難波津を結ぶ瀬戸内海が基幹航路で、日本海航路では陸路と琵琶湖沿岸の塩津・大津などを経て京都に連絡する敦賀津(つるがつ)が、京都と瀬戸内海を連絡する淀川水系の淀津、木津などが代表的な港である。
 12世紀末までには瀬戸内海、日本海沿岸、太平洋の航路を接続することで国内沿岸各地への航行が可能になっていたとみられ、古代以来の要港のほかに瀬戸内海の鞆(とも)・室津(むろつ)・大輪田泊(おおわだのとまり)(のちの兵庫津)、北陸の小浜・琵琶湖沿岸の坂本、太平洋側の安濃津(あのつ)・大湊(おおみなと)などが重要な中継地となった。博多津や兵庫津を拠点に中国や朝鮮と、敦賀津や十三湊(とさみなと)を拠点に北方との貿易も行われた。
 13世紀後期以降、生産技術力の向上や荘園公領制の衰退により輸送の主体は商品となり、遠隔地間を廻船が航行した。通航量を背景に海賊の活動、関所の濫立など通航上の支障もみられる。15世紀、水運の活況は「兵庫北関入船納帳(ひょうごきたせきいりふねのうちょう)」や各地に諸写本が伝来する廻船式目からも窺われる。戦国期、航路封鎖や荷留など、戦火の拡大により水運をとりまく状況も混乱するが、豊臣政権下で惣無事令(そうぶじれい)や海賊停止令(かいぞくちょうじれい)により寸断されていた航路が復旧し、水運の一元的支配が図られた。
 近世には鎖国令で日本船の海外渡航が禁じられるが、国内では幕府が富士川や高瀬川開削、東廻(ひがしまわり)・西廻海運の刷新など大規模な水路再編を行い、江戸、大坂を基軸とする全国的水運網の整備に努めた。諸藩の蔵米や民間商品が廻漕され、菱垣廻船(ひがきかいせん)・樽廻船などの賃積船、北前船・内海船(うつみぶね)などの買積船が稼働し、問屋も発達した。操業や雇用関係の複雑化、海難事故の多発を背景に水運に関する法令も整備された。近代以降は、鉄道網・道路網が整備され、交通・輸送体系が変化したことで役割が低下するが、近年、災害などの非常時に陸路にかわる交通・輸送手段としての役割、環境負荷の低さなどからその重要性が見直されている。[綿貫友子]

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世界大百科事典内の水運の言及

【廻米(回米)】より

…陸上廻米は奥州内陸部など海に面していない一部地方に限られた。街道の輸送には多数の人馬を必要とし,宿駅常備の人馬ではとうてい間に合わず,豪商の請負いによる輸送となり,運賃は水上輸送(水運)に比べ数倍以上となった。途中,河川舟運を利用しても陸上輸送には問題が多かったのである。…

【道】より

…道の一部は断崖に木を打ち込みその上に桟をかけ渡したもの(桟道)であった。その後も秦嶺横断の道路はしばしば改修され,漢の武帝のときには山麓までの水運を効果的に利用しようとする褒斜道(ほうやどう)も開かれた。しかし蜀への道の険阻なることは変りなく,李白の楽府〈蜀道難〉には〈蜀道の難は,青天に上るより難し〉とうたわれている。…

※「水運」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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