熟蕃(読み)ジュクバン

デジタル大辞泉 「熟蕃」の意味・読み・例文・類語

じゅく‐ばん【熟×蕃】

教化され、帰順した原住の人々。⇔生蕃せいばん
第二次大戦前の日本統治時代、台湾高山族高砂族)のうち漢民族に同化していたものをさして用いた語。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「熟蕃」の意味・読み・例文・類語

じゅく‐ばん【熟蕃】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 教化され帰順した先住民。⇔生蕃
    1. [初出の実例]「其内稍教化を得る者を熟蕃(ジュクバン)と云ふ」(出典郵便報知新聞‐明治七年(1874)四月一六日)
  3. 中国・清代、台湾の先住民の高山族(高砂族)のうち漢族に同化していた者を呼んだ語。西部平地に住していたため平埔蕃(へいほばん)とも。⇔生蕃

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の熟蕃の言及

【高山族】より

…中国,台湾省の原住民諸種族のこと。そのうち漢族化したものを熟蕃(じゆくばん),そうでないものを生蕃(せいばん)と呼んだが,これは日本の台湾領有(1895‐1945)に先立つ清朝時代からの称呼であり,たとえば大陸の少数民族であるミヤオ(苗)族を,その漢族化の程度によって,熟苗と生苗とに分ける流儀である。しかし〈蕃〉には軽侮の語感を伴うので,日本時代の中ごろから生蕃という称呼を高砂族と改め,公文書などにもそれが用いられるようになった。…

※「熟蕃」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android