教化(読み)キョウカ

デジタル大辞泉 「教化」の意味・読み・例文・類語

きょう‐か〔ケウクワ〕【教化】

[名](スル)人を教え導き、また、道徳的、思想的な影響を与えて望ましい方向に進ませること。「人民を教化する」「教化活動」
[類語]助言教示訓示アドバイスコンサルティングカウンセリング指導導き教え手引き指南教授教育訓育教導補導ほどう善導誘掖ゆうえき鞭撻べんたつ手ほどき教習コーチ伝授する講義する講ずる仕込むたたき込む育てる導く仕付ける教鞭を執る薫育教学文教育英教えるガイダンス手を取る示教指教徳育知育体育矯正薫陶入れ知恵洗脳感化徳化醇化啓発啓蒙

きょう‐け〔ケウ‐〕【教化】

[名](スル)《「きょうげ」とも》
仏語。人々を教え導いて仏道に入らせること。教導化益けやく
法要の際、仏前で朗唱するの一種。

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精選版 日本国語大辞典 「教化」の意味・読み・例文・類語

きょう‐けケウ‥【教化】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「きょうげ」とも。教導化益(けやく)の意 )
  2. 仏語。衆生を教え導いて恵みを与えること。説経。
    1. [初出の実例]「釈迦仏門先権後実者、欲教化次第」(出典法華義疏(7C前)一)
    2. 「関東へ下りて兵衛佐をけうけせばやと思ひつるに」(出典:義経記(室町中か)六)
    3. [その他の文献]〔放光般若経‐一〕
  3. 法要に際し仏前で朗唱される一種の賛歌。声明(しょうみょう)の節調をもって唱するもので、漢文体のものと和文体のものとがあり、和文体のものには韻文体、散文体の二種がある。今様また短歌の形式をとり、四句を基本として、その倍数の八句、一二句などの長文をなし、種類も多種にわたる。
    1. [初出の実例]「西塔王院懐空僧都教化」(出典:教化之文章色々(1053‐58頃))

きょう‐かケウクヮ【教化】

  1. 〘 名詞 〙 教え同化すること。特に道徳的な意味で使われる。教育が科学的、合理的な内容を含むのに対して、これらを欠いたものとして対比して用いられることがある。
    1. [初出の実例]「人君の教化するは、天道利万物、如き也」(出典:足利本論語抄(16C)子罕第九)
    2. 「近来は頻に魯西亜の国語を弘め寺院を建立して人を教化せり」(出典:西洋事情(1866‐70)〈福沢諭吉〉二)
    3. [その他の文献]〔戦国策‐衛策・嗣君〕

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改訂新版 世界大百科事典 「教化」の意味・わかりやすい解説

教化 (きょうか)

〈教化〉という語は《礼記》経解篇に由来し,徳により人を善に導くことを意味する。日本では平安朝以来,仏教用語で〈きょうけ〉または〈きょうげ〉と読み,ほぼ同様に,人々を教え導くという意に使うようになったが,江戸時代に入り儒教の立場に立つ徳化を〈きょうか〉と呼び,この方が仏教用語より優勢となった。教育とほぼ同義で使われることもあるが,多くの場合,政治的権力宗教的あるいは倫理的権威との結合により民衆を教え導くことをいう。その際,民衆が守りしたがうべき教説を提示し,さらにはそれを実践した人間像が期待されるものとして示される。教育勅語体制下の学校教育,とくに修身教育はこの役割を負わされていた。教化思想が優勢になるとき,知的認識を育てる教育は,たとえそれが十分に行われていなくても,〈知育偏重〉と称してさらにこれを軽視しようとする動きが強くなる。1879年の教学聖旨にはこの考えがはっきりあらわれており,また1930年代後半,戦争を準備し遂行しようとする勢力が,この〈知育偏重〉の語をそのまま使って皇国民錬成を強化した。これらは教化思想を実施に移した代表的な事例である。
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普及版 字通 「教化」の読み・字形・画数・意味

【教化】きようか(けうくわ)

おしえ感化する。〔詩、周南、関雎、序〕先王是れを以て夫を經し、孝し、人倫を厚うし、を美(よ)くし、風俗を移す。

字通「教」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「教化」の意味・わかりやすい解説

教化
きょうか

言葉としては中国の古典に由来し,日本ではすでに『日本書紀』のなかに出てくる。元来は人を導いて善に転化させることを意味し,仏教でも「きょうげ」として用いられる。江戸時代中期以後は社会教化の意味が濃くなり,社会教育とほぼ同義に使われるようになった。特に昭和期には,国民道徳を基調とする大衆の思想善導または社会の改善の意味に用いられ,その意味での教化を目的とする団体が数多く生れた。 (→教化団体 )

教化
きょうけ

声明 (しょうみょう) の曲種名。「きょうげ」とも読む。教導感化して善におもむかせること。大衆に化益を施すことを願って,仏法僧の功徳 (くどく) や法会 (ほうえ) の趣意を説く。平安中期には成立していた。本来は法会に応じて導師がその都度字句を作るものであるが,現在では法要ごとに特定の詞句が定着し,その種類も少くなった。

教化
きょうか

「インドクトリネーション」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の教化の言及

【教化】より

…〈教化〉という語は《礼記》経解篇に由来し,徳により人を善に導くことを意味する。日本では平安朝以来,仏教用語で〈きょうけ〉または〈きょうげ〉と読み,ほぼ同様に,人々を教え導くという意に使うようになったが,江戸時代に入り儒教の立場に立つ徳化を〈きょうか〉と呼び,この方が仏教用語より優勢となった。…

【教育】より

… しかし,現実の庶民の教育機関は,教会によって組織された教会学校での初歩的な読みreading,書きwriting,算reckoning(この三つをスリーアールズ3R’sという)とともに教理問答(カテキズム)を主とする宗教=道徳教育を中心とし,社会への同化と社会秩序維持のための手段として発展し,さらに資本主義の発展に伴い,工場法による児童労働への一定の保護規定と結びついて発展する。しかし,そこでの教育は,個人の可能性を引き出すeducereという意味での教育educationというよりは,既成の価値観を注入するという意味での教化=インドクトリネーションindoctrinationに近かった。ここでは子どもの発見とは,子どもの学校への囲込みに通じていた。…

※「教化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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