高山族(読み)こうざんぞく

百科事典マイペディアの解説

高山族【こうざんぞく】

台湾の原住諸民族の一部をさす。現在では,台湾では,台湾原住民の呼称が一般的で,日本では,世界の他地域の先住民についての呼称と同様に,台湾先住民といわれる。清朝以降,先住民のうち漢民族化したものを熟蕃(じゅくばん),そうでないものを生蕃(せいばん)と呼んだ。日本の統治時代は前者を平埔(へいほ)族,後者を高砂(たかさご)族と呼んだが,国民党政府は後者を高山族と改称した。原マレー人系で言語はインドネシア語系。言語・文化ともにフィリピン山地住民に類似し,人口は約20万人と推定される。17世紀ころから来住した漢民族に圧迫され,主として山岳地帯に居住。定住農耕民で,以前は焼畑耕作によっておもにアワを作ったが,現在では陸稲栽培が多く行われている。山地を北からサイシヤット族,タイヤル族,ブヌン族,ツォウ族,アミ族,ルカイ族,プユマ族,パイワン族が占め,南東の島上にヤミ族などが分布。固有の宗教はアニミズムが中心。→霧社事件
→関連項目台湾

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

こうざんぞく【高山族 Gāo shān zú】

中国,台湾省の原住民諸種族のこと。そのうち漢族化したものを熟蕃(じゆくばん),そうでないものを生蕃(せいばん)と呼んだが,これは日本の台湾領有(1895‐1945)に先立つ清朝時代からの称呼であり,たとえば大陸の少数民族であるミヤオ(苗)族を,その漢族化の程度によって,熟苗と生苗とに分ける流儀である。しかし〈蕃〉には軽侮の語感を伴うので,日本時代の中ごろから生蕃という称呼を高砂族と改め,公文書などにもそれが用いられるようになった。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

カオシャンぞく【高山族】

こうざんぞく【高山族】

台湾原住の民族の総称。焼き畑で粟や陸稲を栽培した。ブヌン・アミ・アタヤルなど九つの民族に大別される。日本統治時代に高砂族たかさごぞくと呼ばれた。のち、国民政府によって高山族(カオシャン族)と呼ばれたが、今日では台湾原住民族という呼称が用いられる。 → 台湾諸語

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

高山族
こうざんぞく / カオシャンツー

台湾原住民(中国語圏では、「先住民」に「今は存在しない」という意味があるため、「原住民」が用いられる)の総称。第二次世界大戦後、「高砂族(たかさごぞく)」のかわりに用いられ始めた。日常口語での「番仔(ホワナ)」や、日本の一部で使われている「生番(せいばん)」のような差別的色彩をもたない点では、同じく台湾で行政用語の「山胞(シャンパオ)」とともに評価できるが、半数近い原住民は山ではなく平地に居住しているため、「台湾原住諸族」のほうが精確な表現といえよう。[末成道男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

こうざん‐ぞく カウザン‥【高山族】

〘名〙 台湾の先住民族。インドネシアから台湾に最初に渡来して定着したといわれる。マライ‐ポリネシア系で、主に焼畑農業に従事した。日本の植民地時代には高砂族(たかさごぞく)と呼ばれた。第二次世界大戦後、中国国民党は「高山族」または「山地同胞」と呼んだが、近年は自らの要求で「原住民族」という呼称が定着している。現在、九種族(一二種族と分類することもある)。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の高山族の言及

【台湾[省]】より

…海岸線は単調で,良港湾には恵まれない。
[住民]
 少数の外国人を除くと先住民の高山族と大陸から移住してきた漢族を中心とする大陸系住民の二大部分からなる。高山族はインドネシア系統あるいは原(プロト)マレー系統の種族であるといわれている。…

※「高山族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

口永良部島

鹿児島県南部,大隅諸島,屋久島の北西約 12kmにある火山島。活火山で,常時観測火山。屋久島町に属する。霧島火山帯に属し,西に番屋ヶ峰(291m),東に最高点の古岳(657m)と新岳(626m)があり...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android