片荒し(読み)かたあらし

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

片荒し
かたあらし

平安時代、地力不足や用水不足によって隔年に休耕させた田畠(たはた)をいう。「山かつのそともの小田のかたあらし古年のつくりはしめもおろさず」(『新撰六帖(しんせんろくじょう)』)とか、「早苗とるやすのわたりのかたあらしこぞのかり田はさびしかりけり」(『拾玉集(しゅうぎょくしゅう)』)とあるように、早苗をとるころになっても去年の刈田のときのまま放置されている耕地である。『倭訓栞(わくんのしおり)』では「かたあらし」を「田畠の年交に荒るゝをいふといへり」と説明している。その先蹤(せんしょう)となるのは律令(りつりょう)制の「易田(えきでん)」であって、地力が薄弱なために1年置きに休耕し、その間に地力の回復をまたねばならない田であった。平安時代の片荒しには、用水不足による場合と、易田のように地力不足によるものとがあったようである。また、畑の場合にも片荒しがみられる。伊賀国(三重県)名張(なばり)郡などにみられる「片畠(かたはた)」はそれであろう。[黒田日出男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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