物前(読み)モノマエ

デジタル大辞泉 「物前」の意味・読み・例文・類語

もの‐まえ〔‐まへ〕【物前】

いくさが始まる直前。
「―にて腰立たず無性になる人は本の臆病者とて」〈甲陽軍鑑一四
正月・盆・節句などの前。物日の前。
「はや極月も二十八日、しかも小の晦日つごもりなるに、今日と明日との―」〈浮・永代蔵・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「物前」の意味・読み・例文・類語

もの‐まえ‥まへ【物前・武前】

  1. 〘 名詞 〙
  2. いくさのはじまる直前。
    1. [初出の実例]「於武前(モノマヘ)御用相達候様、不断稽古肝要之事」(出典:上杉年譜‐四九・元和四年(1618)七月一三日・上杉景勝条書)
    2. 「小軍が大軍にかさを被懸、其に寎(おどろき)て武ば、物前(ものマヱ)にてせいがぬくる者成」(出典:三河物語(1626頃)一)
  3. 正月・盆・節供などの前。物日の前。節季の前。行事の準備や掛買の支払・決算などの時期に当たる。
    1. [初出の実例]「三分一とてとるこがね川 物前や水のごとくにすますらん」(出典:俳諧・独吟一日千句(1675)第二)
    2. 「節前(モノマヘ)心機(やりくり)も、なく子と病に勝れねど」(出典:滑稽本・麻疹戯言(1803)麻疹与海鹿之弁)
  4. 江戸時代、遊郭の紋日の前。
    1. [初出の実例]「物前(モノマヘ)ちかくなりて口舌する事なかれ」(出典:評判記色道大鏡(1678)二)

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