コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

節供 せっく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

節供
せっく

節句とも書く。年間の節目にあたる。節 (せつ) ,節日 (せちび) ともいう。九州,沖縄方面でいう折り目,近畿地方の一部でいうトキヨリ,トッキョリや,全国各地で年間の特定の日をマツリ,カミゴト,イワイ,ヤスミなどと呼んでいるのも,ほぼ同じ内容をさす言葉と思われる。期日は土地によって一定でないが,それらの日には仕事を休み,特別の食物を用意するのが特徴。元来は,この食物を供えて神々や祖先の霊を祀り,それを人々も分け合って食べることによって,神霊と人々相互の間に目に見えない一体感を得ようとした。したがって広義には,年中行事の日の多くは節供であるといえる。節供の語意は,もともとは節の日の神供,食饌であったが,のちにはそういう供え物をする節日それ自身を節供と呼ぶようになったと考えられている。その意味では節句ではなく節供と書くほうが本来的な表記である。よく知られている五節供は,中国伝来の習俗が宮中や貴族社会に受容され,その後,江戸時代にいたって幕府の式日ともなり,民間にも普及したものである。その際,当時行われていた民間の他の行事と習合したらしく,現在みられる五節供には伝来以外の要素が少くない。五節供のほか稲作農業の重要な区切りごとに,神々の来臨を仰ぐ神祭りの日も多い。その代表例は盆と正月という節供である。特に正月の場合には,年越しや年初めの正式の食事を御節料理 (おせちりょうり) といい,新調したはきものをセチゾウリ,正月用の米や薪などをセチゴメ,セチギというところもあり,節供としての感覚が強い。正月を迎えるために煤払いをしたり年木切りをする日を,煤取節供,柴節供と呼ぶところもある。陰暦8月1日は,秋の刈入れを直後に控えた大切な日で,地方によって八朔節供,生姜節供,馬節供,嫁節供,畑物節供,粟節供,田の実の節供などと呼ばれ,穂掛儀礼や物品の贈答などの行事が行われている。東北地方では,陰暦9月 29日までにはおおむね稲の収穫をすませ,この日には刈上げ節供と呼んで餅をついて祝うところが多い。そのほか各地には亥の子節供,鬼節供,川入り節供,粥節供,田誉め節供,夏越しの節供,鍋割り節供,麦誉め節供,八日節供,焼餅節供などがあり,年間の節目,折り目にあたる日々に,土地ごとに特色ある節供を祝っている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

せ‐く【節供】

《「せっく」の促音の無表記》「せちく(節供)」に同じ。
「五月五日になりて、―などいと清(けう)らに調(てう)じて」〈宇津保・忠こそ〉

せち‐く【節供】

節日(せちにち)に供える供御(くご)。元旦の膳(ぜん)、正月15日の七草粥(ななくさがゆ)、3月3日の草餅(くさもち)、5月5日の粽(ちまき)、7月7日の索餅(さくべい)、10月初めの亥(い)の日の亥の子餅(もち)などの類。おせち。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

節供【せっく】

節句とも。特定の日に神に食物を供する意から,特定の日そのものをさすようになった。江戸時代に正月7日の人日(じんじつ),3月3日の上巳(じょうし),5月5日の端午,7月7日の七夕(たなばた),9月9日の重陽(ちょうよう)を五節供と定めたが,民間で祝う節供にはほかに八朔(はっさく),亥子(いのこ)などもあった。
→関連項目御節料理雛祭

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

大辞林 第三版の解説

せちく【節供】

節日に供する供御くご。元日の膳、正月15日のかゆ、3月3日の草餅、5月5日のちまき、7月7日の索餅さくべい、十月初の亥の日の亥子餅の類。おせち。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

節供
せっく

節句とも書く。年間の折り目となる年中行事をいう。古くは節日(せちにち)といった。節(せち)は竹の節(ふし)のように年間のところどころにあって、生活の句読点の役目を果たす。いまも、おせち料理などのことばが残っている。宮廷では節日に行う宴会を節会(せちえ)といい、元日節会(がんにちのせちえ)、白馬(あおうま)節会、踏歌(とうか)節会、端午(たんご)節会、重陽(ちょうよう)節会、豊明(とよのあかり)節会があって群臣が食事を頂いた。節供(せちく)は節日に供える供御(くご)(飲食物の敬語)の意で、節の日には特有の食べ物を伴うところから節日の意味にも使われ、近世の初めごろから節句とも書くようになった。節供は元来、年中行事の折々を示すことばであったから、各地に種々の節供の名称がある。1月7日の花かき節供、1月11日の田植節供・おから節供、1月14日の松立て節供、1月15日の粥(かゆ)節供・柴(しば)立て節供、1月20日の綱打ち節供、3月3日の船玉節供・野辺(のべ)節供・麦ほめ節供、4月8日の飴形(あめがた)節供、5月5日の田ほめ節供、6月1日の焼餅(やきもち)節供、7月27日の萱(かや)節供・酒(さけ)節供、8月1日の馬(うま)節供・姫瓜(ひめうり)の節供、9月9日のおかずら節供、12月1日の川渡り節供など数多くある。江戸幕府は徳川氏の出身地三河の習俗を取り入れて五節供を定めた。正月7日の人日(じんじつ)、3月3日の上巳(じょうし)、5月5日の端午、7月7日の七夕(しちせき)、9月9日の重陽である。これらはいまも七草、桃・菖蒲(しょうぶ)の節供、七夕(たなばた)、菊の節供ともいうが、3月と5月の節供だけを節供とよぶ人も多くなった。[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

節供の関連キーワード菖蒲の挿し櫛節供(節句)こどもの日煤取り節供武者人形五月人形三月節供御方打ち九月節供五月節供夏越の祓亥の子餅七草粥女の家雛人形土人形菖蒲湯亥子餅五月幟船祝い

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

節供の関連情報