日本大百科全書(ニッポニカ) 「玉砥石」の意味・わかりやすい解説
玉砥石
たまといし
玉類製作の工具の一つで、主として研磨に用いられる。形態上の機能からみれば、平砥石、筋(すじ)砥石、窪(くぼみ)砥石、内磨(うちみがき)砥石、特殊砥石などの種類があり、使用機能の面からみれば、手に把握して研磨するものと、固定して用いるものがある。また材質からみれば、荒砥、中砥、仕上砥の区別がある。縄文・弥生(やよい)・古墳時代を通じてみられるが、時代により地方により定型化した独特の砥石が使われている。たとえば縄文時代では砂岩剥片(はくへん)を用いた扁平の細池型砥石(新潟県)、古墳時代では硬砂岩の浜山型内磨砥石(富山・新潟県)、紅簾(こうれん)片岩の出雲(いずも)型内磨砥石(島根県)などがあり、弥生時代の佐渡玉作遺跡の石英粗面岩製石鋸(いしのこぎり)も注目される。さらに勾玉(まがたま)の背面などを研磨する筋砥石にも花崗(かこう)岩を使用した大形の出雲型筋砥石(島根・鳥取県)や黒色硬砂岩を用いた三輪型筋砥石(奈良県)などがある。
[寺村光晴]