改訂新版 世界大百科事典 「王立フィリピン会社」の意味・わかりやすい解説
王立フィリピン会社 (おうりつフィリピンかいしゃ)
Real Compañía de Filipinas
スペインのフィリピン総督バスコによって1785年に創設された貿易会社。創設の目的は,フィリピンとスペイン本国間に直接貿易を開き,フィリピン資源の開発と政庁財政の健全化をはかることにあった。バスコが実施したタバコの強制栽培・専売制度と国民経済協会の設立は,この貿易会社創設と密接な関係をもっている。会社はマニラ~アカプルコ間の直接貿易を除いて,貿易の独占権を与えられ,また,フィリピン物産の本国向け輸出はすべて免税とする,東洋諸国への自由渡航を認める,などの特権を認められた。本国向け輸出品の中心はフィリピン産タバコで,これによって政庁財政は著しく改善された。しかし会社の経営はしだいに不振に陥り,1834年マニラ開港を目前にして,会社は廃止された。経営不振はマニラ~アカプルコ貿易関係者の妨害や,東洋諸国との貿易で直接現地に赴かず,舶載するものを購入したにとどまったことなどによる。
執筆者:池端 雪浦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報