王莽銭(読み)おうもうせん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

王莽銭
おうもうせん

中国、新(しん)の王莽の作成した貨幣の総称。王莽の治政15年間の貨幣政策は変転きわまりなかった。その変革は紀元後7年の大銭(大泉)、契刀(けいとう)、錯刀(さくとう)の新鋳から始まる。それぞれ五銖銭(ごしゅせん)50個、500個、5000個にあたり、高額取引用である。しかし9年には契刀と錯刀と五銖銭を廃止し、重さ1銖(約0.6グラム)の小銭を新鋳してこれを1銭とし、大銭と併用させた。翌10年にはさらに、金、銀、亀甲(きっこう)、貝、銅を材質とする6形式28種の貨幣を制定するという複雑なものになり、14年には大銭と小銭が廃止され、重さ5銖の貨泉と25銖の貨布が登場する。貨泉25が貨布1の関係で、したがって貨泉5を改鋳して貨布1をつくり利益を得る者が続出した。このような貨幣政策は結局大きな社会不安を与え、王莽政権の崩壊を早めさせた。[春日井明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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