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中国,新の王莽が西暦14年(天鳳1),彼としては第4次の貨幣制度改革で制定した銅銭。径1寸,重さ5銖。方孔をはさんで,右に篆(てん)書体で〈貨〉字を,左に〈泉〉字を刻む。王莽は10年(始建国2)の第3次貨幣改革で6系統28種の貨幣を発行したが,あまりの煩雑さに人民は当惑し,貨幣経済は大混乱に陥った。そこで彼はわずか4年でこの制度を廃止し,改めて貨布と貨泉の2種類の貨幣を発行し,両者の比価を25対1とした。貨泉は王莽政権が倒れた後も,40年(建武16),後漢光武帝が五銖銭を復活するまで,官や民間で鋳造され続けたので,質や重量,様式に差異がある。またその鋳造額が多かったので,外国にも流出し,朝鮮や日本の遺跡からも出土しており,遺跡の年代決定の基準とされることがある。
執筆者:稲葉 一郎
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中国、王莽(おうもう)の新(しん)代の銭貨の一種。天鳳1年(紀元14)の初鋳。円形方口の銅銭で、右に「貨」、左に「泉」の字を鋳出する。日本では福岡県糸島(いとしま)市志摩御床松原(しまみとこまつばら)の砂丘地で、中山平次郎(へいじろう)(1871―1956)によって採集され、弥生(やよい)土器に伴出するものと認定され、弥生時代の年代決定の有力な手掛りとされた。その後、しだいに発見例が増え、多くの弥生時代の遺跡で貨泉が出土している。このうち大阪府亀井(かめい)遺跡では一土坑内から畿内(きない)第Ⅳ~第Ⅴ様式の土器片とともに貨泉1枚が発見され、長崎県壱岐(いき)の原の辻(はるのつじ)遺跡では上層(九州の弥生後期前半)から貨泉1枚が発見されている。弥生時代中期末ないし後期初頭が、1世紀中ごろから後半にかけての時期であったことを示す資料である。
[田村晃一]
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