貨泉(読み)かせん(英語表記)Huo-guan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

貨泉
かせん
Huo-guan

中国で王莽 (おうもう。前 45~後 23) の時代につくられた貨幣の一種。天鳳1 (14) ~建武 16 (40) 年の間に鋳造された青銅貨。円体に四角のがあり,表に孔をはさんで貨,泉の銘がある。いろいろの大きさがあるが,当初の規格は径1寸 (3.3cm) ,重さ5銖 (約 8g) である。中国本土をはじめ,中国東北地方,朝鮮などに出土し,日本では弥生時代の遺跡に出土して,弥生文化の年代推定に役立っている。

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百科事典マイペディアの解説

貨泉【かせん】

中国,の時代の貨幣。周制への復帰を理想とする王莽(おうもう)が五銖銭(ごしゅせん)の流通を禁止し,貨布とともに後14年に初めて発行。後漢まで鋳造された。円形方孔で貨泉の銘をもつ。初めは径1寸,重量5銖であったが,異種が多い。中国のほかに,朝鮮,日本などでも発見され,遺跡の年代判定の資料とされている。
→関連項目金海遺跡

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世界大百科事典 第2版の解説

かせん【貨泉 Huò quán】

中国,新の王莽が西暦14年(天鳳1),彼としては第4次の貨幣制度改革で制定した銅銭。径1寸,重さ5銖。方孔をはさんで,右に篆(てん)書体で〈貨〉字を,左に〈泉〉字を刻む。王莽は10年(始建国2)の第3次貨幣改革で6系統28種の貨幣を発行したが,あまりの煩雑さに人民は当惑し,貨幣経済は大混乱に陥った。そこで彼はわずか4年でこの制度を廃止し,改めて貨布と貨泉の2種類の貨幣を発行し,両者の比価を25対1とした。

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大辞林 第三版の解説

かせん【貨泉】

中国、新の王莽おうもうが14年に鋳造した円形方孔の銅銭。「貨泉」の二字がある。日本でも弥生やよい時代の遺跡から出土。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

貨泉
かせん

中国、王莽(おうもう)の新(しん)代の銭貨の一種。天鳳1年(紀元14)の初鋳。円形方口の銅銭で、右に「貨」、左に「泉」の字を鋳出する。日本では福岡県糸島(いとしま)市志摩御床松原(しまみとこまつばら)の砂丘地で、中山平次郎博士によって採集され、弥生(やよい)式土器に伴出するものと認定され、弥生時代の年代決定の有力な手掛りとされた。その後、しだいに発見例が増え、弥生時代の遺跡で貨泉が出土した場所は現在では10余か所に達する。このうち大阪府亀井(かめい)遺跡では一土坑内から畿内(きない)~第様式の土器片とともに貨泉1枚が発見され、長崎県壱岐(いき)の原の辻(はるのつじ)遺跡では上層(九州の弥生後期前半)から貨泉1枚が発見されている。弥生時代中期末ないし後期初頭が、1世紀中ごろから後半にかけての時期であったことを示す資料である。[田村晃一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

か‐せん クヮ‥【貨泉】

〘名〙 古代中国、新の王莽(おうもう)が鋳造した銅銭。中央の四角い穴の右に貨、左に泉の二字がある。長崎県壱岐島の原の辻遺跡や大阪市の瓜破(うりわり)遺跡などから発見された。
※菅家文草(900頃)五・銭「楡莢重軽種、貨泉商賈源」

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