〈五銖〉の銘をもつ中国の古銭。円体方孔で,多くは右書,まれに左書で五銖の2字を表す。銖は1両の1/24にあたる重量単位である。前漢の武帝の元狩4年(前119)に三銖銭を銷(とか)して五銖銭を鋳たのが最初で,その後,平帝の元始年間(後1-5)に至るまで,五銖銭を鋳ること280億万余と伝えられる。この銭は中国の古銭のなかで最も生命が長く,後漢,三国,六朝を経て,隋代まで通用した。しばしば改鋳されたため,形式や字体に変化が見られるので,出土した遺跡の年代の上限を知る手がかりとなる。ただし個々の銭につき,その鋳造年代を正確につかむことは必ずしも容易でない。穿(せん)上横文五銖(前漢宣帝の神爵年間(前61-前58)),四道五銖(後漢霊帝の中平3年(186)),直百五銖(建安19年(214))などのほか,鉄銭五銖,両柱五銖,稚(ち)銭五銖,五朱,四柱五銖,内郭五銖,さらに年号を付した太和五銖,永安五銖などがある。
執筆者:関野 雄
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前118年,前漢武帝のときに初めて発行された青銅貨幣。5銖は3.25gの重さ。前漢初期の貨幣は秦以来の半両(12銖,7.8g)と表示し,実質重量は8銖,4銖と定めた。武帝は実質重量を表記する三銖銭を発行しようとしたが,いったん半両銭にもどし,元狩5年(前118年)五銖銭に改めた。前漢だけでも280億枚発行され,唐の開元通宝まで中国王朝の基本貨幣となった。
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…漢代初期には銅銭の重量・大きさをめぐって試行錯誤が繰り返されたが,前175年(文帝5),四銖半両銭の発行で安定した。さらに武帝のとき,三銖銭の暫定的発行(前120)を経て五銖銭が発行されるに及び(前119),銅銭の重量・様式は確定した。五銖銭は,以後,唐の621年(武徳4),開元通宝が発行されるまで,銅銭のモデルとされた。…
…半両銭は秦国の貨幣であったところから最初の統一貨幣の名誉を担うことになるが,方孔円銭という点で後世の銅銭の祖型とはなったものの,周縁部に外郭がなく,文字や形式も不整合なうえ,銭文とその重量が一致していなかった。漢の武帝は財政上の目的のほか,これらの不備を改める目的もあって五銖銭を発行した。五銖銭は重量や様式において貨幣としての条件を充足し,経済の実情にも適していたので,これ以後,銅銭のモデルとなった。…
※「五銖銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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