球状パーライト(読み)きゅうじょうパーライト(その他表記)spheroidal(spherodized) pearlite

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「球状パーライト」の意味・わかりやすい解説

球状パーライト
きゅうじょうパーライト
spheroidal(spherodized) pearlite

正しくは球状セメンタイト組織というべきであるが,標記呼称が普通になっている。通常の薄片状パーライトの組織成分であるセメンタイトが球状化した組織。普通のパーライト組織の鋼を A1 点 (炭素鋼では 727℃) 直下温度で数時間保持すると得られる。硬いセメンタイトの量はあまり減らずに粒状化し,軟らかいフェライトが全体につながるので,硬さは全体として低下せず粘靭性を増す。実際の球状化処理法は数種あるが,高炭素鋼で刃先の欠けやすい薄肉工具,土木機械ブレード,かみそり刃,精密機械部品,軸受鋼などに応用される。

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世界大百科事典(旧版)内の球状パーライトの言及

【パーライト】より

…また,鋼を焼きならした場合にもフェライトあるいはセメンタイトとともにパーライトが得られる。層状のパーライトは靱性(じんせい)に乏しいが,A1変態点直下の温度に加熱すると,パーライト中のセメンタイトが球状化して球状パーライトとなり,靱性が得られる。鉄道のレール用鋼材の組織はおもにこのパーライトから成る。…

※「球状パーライト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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