生るともなし(読み)いけるともなし

精選版 日本国語大辞典 「生るともなし」の意味・読み・例文・類語

いけ【生】 る ともなし

  1. ( 「いけ」は四段動詞「いく(生)」の命令形、「と」は、しっかりした気持の意の名詞 ) 生きているというしっかりした気持がない。
    1. [初出の実例]「天ざかる夷(ひな)荒野に君を置きておもひつつあれば生刀毛無(いけるトモなし)」(出典万葉集(8C後)二二七)
    2. 「ねもころに片もひすれかこのころの吾がこころどの生戸裳名寸(いけるトモナキ)」(出典:万葉集(8C後)二五二五)

生るともなしの語誌

用例の「刀・戸」は甲類の文字であるから助詞とは見られず、「利心(とごころ)」などの「と」と同じであるといわれるが、この「と」だけが名詞として使われているのは他に例がない。また、唯一の仮名書き例である万葉‐一七〇「白玉の見がほし君を見ず久に夷(ひな)にしをれば伊家流等毛奈之(イケルトモナシ)」の「等」は乙類で、助詞「と」の類に属するので、「いけりともなし」との関係が問題になる。しかし、万葉集中では「と」の甲乙両類の使い分けには混同の例があるので、これもその一つとも考えられる。→生けりともなし

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