混同(読み)コンドウ

デジタル大辞泉 「混同」の意味・読み・例文・類語

こん‐どう【混同】

[名](スル)
区別しなければならないものを同一のものとして扱うこと。「公私混同する」
まじり合って一つになること。
体面を全うして改革家の党に―せんと欲する者もあり」〈福沢文明論之概略
相対立する二つの法律的地位が同一人に帰すること。債権債務とが同一人に帰したときなど、物権・債権の消滅原因となる。
[類語]思い違い誤解勘違い心得違い曲解本末転倒取り違えるしっちゃかめっちゃかはちゃめちゃ乱雑雑然乱脈紛然紛紛繚乱蕪雑ぶざつ狼藉卍巴まんじともえ不統一ごっちゃごちゃごちゃごしゃごしゃごじゃごじゃごたごためちゃくちゃまぜこぜ支離滅裂かなえの沸くが如し上を下へ蜂の巣をつついたよう押すな押すな押し合いへし合い混乱錯綜錯乱混沌錯雑交錯混線混交混迷ごた混ぜごちゃ混ぜどさくさこんがらかる紛れる

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精選版 日本国語大辞典 「混同」の意味・読み・例文・類語

こん‐どう【混同】

  1. 〘 名詞 〙
  2. まじって一つになること。また、まぜて一つにすること。混一。
    1. [初出の実例]「晉朝澆季少淳風、七子超然不混同」(出典:田氏家集(892頃)下・題竹林七賢図)
    2. [その他の文献]〔左思‐魏都賦〕
  3. 異なるものをまちがえて同一のものと考えること。ごったにして区別しないこと。
    1. [初出の実例]「只与小人混同していよと云ぞ」(出典:四河入海(17C前)一七)
  4. 民法で、相対立する二つの法律上の地位(たとえば債権と債務)が同一人に帰すること。債権、物権を通じ、原則として権利関係は消滅する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「混同」の意味・わかりやすい解説

混同
こんどう

同一の物につき所有権と他の物権が同一人に帰したときに、その物権が消滅することを混同という(民法179条1項本文)。たとえば、父が所有する土地について子が地上権を有していたところ、父が死亡して前記の子が唯一の相続人となったときには、子が土地の所有権を取得することになるので、子が自分の土地に地上権をもち続けることは無意味であるから、地上権は消滅する。しかし第三者の権利を害することができないので、その物またはその物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでないとされる(同項但書)。たとえば前記の例で、土地や地上権について第三者のために抵当権が設定されているようなときである。所有権以外の物権およびこれを目的とする他の権利が同一人に帰したときは、その権利は消滅する。この場合においては前項但書の規定を適用する(同条2項)。地上権とこれを目的とする抵当権が同一人に帰したようなときである。前2項の規定は占有権には適用しない(同条3項)。債権についても混同による消滅が認められる。すなわち、債権と債務が同一人に帰したときは、その債権は消滅する(民法520条本文)。たとえば、子に対して貸金債権を有する父が死亡したときには、その債権は子の相続分の限度で消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない(同条但書)。前記の貸金債権上に質権が設定されていたようなときである。

[川井 健]

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改訂新版 世界大百科事典 「混同」の意味・わかりやすい解説

混同 (こんどう)
merger
Konfusion[ドイツ]

法律用語。相対立する二つの法律上の地位が同一人に帰すること。私法上の関係において物権あるいは債権の消滅原因の一つとして意味をもつ。すなわち,同一の物について所有権とその他の物権が同一人に帰した場合,たとえば,A所有の土地に地上権を有し家屋を建てて住んでいるBがAからその土地所有権を譲り受けるとか,抵当権者Bが相続により抵当目的物の所有権を取得したなどの場合,Bにとって地上権,抵当権を存続させる意味はなくなるから,法は,このような地上権,抵当権は所有権との混同により消滅するとしたのである(民法179条1項)。同様な関係は,債権と債務が同一人に帰した場合,たとえば,家屋の賃借人家主から家屋所有権を譲り受け賃貸人の地位を取得したとか,親から100万円借金していたところ親が死亡しこの100万円の債権をそっくり相続したなどの場合にも生じ,ここでは債権が消滅するとされる(520条)。以上のような混同による物権,債権の消滅の根拠は,混同した物権または債権の存続が法的に無意味とみられるからにほかならない。したがって,逆に,その存続に意味がある場合には,混同により消滅させるべきではない。たとえば,さきにあげた,地上権と所有権の混同の例で地上権が第三者の抵当権の目的となっている場合には,地上権存続につき第三者は利益を有するから,混同による地上権消滅は許されない。同様に抵当権者Bが抵当目的物の所有権を取得した例で,同一目的物に後順位の抵当権が付着している場合,Bの抵当権が先順位として存続することにつきBは利益を有しているから,混同による消滅は生じない(179条1項但書)。また,債権,債務の混同においても同様で,債権に権利質が設定されている場合などは,債権は消滅しないのである(520条但書)。
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普及版 字通 「混同」の読み・字形・画数・意味

【混同】こんどう

合一する。〔後漢書、皇后紀下論〕始めて光烈のて、其の後竝びにを以て配と爲し、賢愚優劣、混同して貫を一にするに至る。

字通「混」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「混同」の意味・わかりやすい解説

混同
こんどう
Konfusion; merger

民法上の用語で,相対立する法律的地位が同一人に帰属することをいう。混同には物権の混同 (民法 245) と債権の混同 (520条) とがあるが,前者は,たとえば地上権者が土地の所有権を取得した場合などがこれにあたり,また後者は,たとえば債権者が債権上の債権質権を取得した場合などがこれにあたる。いずれの場合にも,これによって権利 (設例では地上権または債権質権) は消滅する。混同が権利消滅原因となるのは,この場合,相対立する権利の存続を認めることが無意味であり,不必要だからである。

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