日本大百科全書(ニッポニカ) 「生番」の意味・わかりやすい解説
生番
せいばん
台湾原住民(中国語圏では、「先住民」に「今は存在しない」という意味があるため、「原住民」が用いられる)のうち、清(しん)朝時代に漢化の度合いの薄かった9種族の総称。俗に「生蛮」とも書く。旧中国では古来、周辺の少数民族に対し、漢民族の習俗の浸透や統治への服属の度合いに応じ「生・熟」の区別をつけていた。日本では、1895年(明治28)の台湾割譲に伴いこの呼称を引き継いで使用し、一般に流布した。しかし蔑称(べっしょう)を避けるため、大正の末から徐々に「高砂族(たかさごぞく)」にかえられ、第二次世界大戦後、台湾では「高山族(カオシャンツー)」「山胞(シャンパオ)」とも称されていたが、人々の意識の高まりとともに、「原住民」が通称となりつつある。
[末成道男]
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