国指定史跡ガイド 「田名向原遺跡」の解説
たなむかいはらいせき【田名向原遺跡】
神奈川県相模原(さがみはら)市中央区田名塩田にある旧石器時代末の遺跡。山中湖を水源として相模湾に流れる相模川と城山湖付近を水源とする境川に挟まれた相模野台地には、後期旧石器時代の遺跡が多数分布する。この遺跡は相模川左岸の比高11mの段丘上に立地し、地表から探さ2.5mにある約1万5000年前の地層から2ヵ所ずつの石器集中地点と礫群、1棟の建物跡が発見された。建物跡は、径約10mの範囲を河原石で囲んだもので、内部からは柱穴12基と焚き火跡2ヵ所も確認された。また、黒曜石製を主とする約180点の石槍、少量のスクレイパー(薄片石器)とナイフ形石器、製作の際に生じた多量の石核(せっかく)や剝片(はくへん)など合計3000点近くの石器が出土し、石器の製作が行われた場所と考えられ、旧石器時代の人々の生活を知るうえで重要とされ、1999年(平成11)に国の史跡に指定された。2007年(平成19)には周辺整備が行われ、遺跡公園が開園した。JR相模線原当麻駅から神奈中バス「塩田下」下車、徒歩すぐ。