日本大百科全書(ニッポニカ) 「画禅室随筆」の意味・わかりやすい解説
画禅室随筆
がぜんしつずいひつ
中国、明(みん)代の文人画家、董其昌(とうきしょう)の筆録。揚無補(ようむほ)(1657没)編纂(へんさん)。全4巻。巻1は書を論じたもの(論用筆、評法書、跋自(ばつじ)書、評旧帖(ひょうきゅうじょう))。巻2は画法から画評に及ぶ論画(画訣(がけつ)、画源、題自画、評旧画)。巻3は紀行や詩文の評など(記事、記遊、評詩、評文)。巻4は雑言、楚中(そちゅう)随筆、禅説の諸項を収める。巻1、2は、董其昌の別著『画旨』『画眼』などと重複するところが多く、また先人の意見をそのまま記したところもあるが、「万巻の書を読み、万里の路を行く」の句のある山水の気韻論をはじめ、とくに南北二派論(中国の画人を南宗と北宗に分類した論)は後世に絶大な波紋と影響を与えた。
[星山晋也]