日本大百科全書(ニッポニカ) 「留保条項」の意味・わかりやすい解説
留保条項
りゅうほじょうこう
reservation clause
多数国間条約のなかに、留保を認める規定のある場合、これをさしていう。留保条款ともいう。留保とは、多数国間条約の署名、批准、加入、承認にあたり、自国として拘束されたくない条項を、自国にとって拘束力のないものと宣言することである。留保が成立すると、留保国とそれを認めた当事国との間では、その留保規定に双方ともに拘束されない効果が生ずる。しかし、留保国以外の当事国間では、その留保規定も拘束力をもつ。留保条項を設ける理由は、多数国間の開放条約において、なるべく多くの国の参加を可能にするためである。しかし他方で、重要な内容の留保は条約の目的達成を不可能にすることから、たとえ留保条項があっても、その留保が「条約の趣旨および目的と両立」することが要件である。留保の申込みは一方的になしうるが、これに反対する条約当事国との間では留保条項が効果をもたず、留保は成立しないのである。
[經塚作太郎]