癈ふ(読み)シウ

デジタル大辞泉 「癈ふ」の意味・読み・例文・類語

し・う〔しふ〕【×癈ふ】

[動ハ四]し(癈)いる」に同じ。
松反がへり―・ひてあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂といふ奴」〈・一七八三〉
[動ハ上二]し(癈)いる」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

関連語 自動詞 松反 シイ

精選版 日本国語大辞典 「癈ふ」の意味・読み・例文・類語

し・うしふ【癈】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙 器官のはたらきを失う。五感覚の機能を失う。
    1. [初出の実例]「松反り四臂(シヒ)てあれやは三栗の中上り来ぬ麻呂といふ奴」(出典:万葉集(8C後)九・一七八三)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行上二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「是くの如く无明の為に盲(シヒ)られて、則ち能く多過患の不浄の五陰を受く」(出典:聖語蔵本成実論天長五年点(828)一六)
    2. 「リャウガン xij (シイ) マシマシテ。ミミ xij (シイ) テ」(出典:日葡辞書(1603‐04))

癈ふの補助注記

( 1 )「万葉集」の例は「四臂」の「臂」が甲類のかな(さらに、連用形名詞「しひ(癈)」の用例の「比」も甲類)であるところから四段活用と考えられる。
( 2 )中古以降は[ 二 ]の挙例の「盲(シヒ)られて」が上二段活用と認められるほかは、ほとんどが連用形で活用の判定はしにくく、上二段活用として扱った。
( 3 )「日葡辞書」の見出しは「Xij(シイ), xijta(シイタ), xijte(シイテ)」とあって終止形はあがっていない。連用形専用であったことと、四段活用ではなかったらしいことは、これからもわかる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

イチロー

[1973~ ]プロ野球選手。愛知の生まれ。本名、鈴木一朗。平成3年(1991)オリックスに入団。平成6年(1994)、当時のプロ野球新記録となる1シーズン210安打を放ち首位打者となる。平成13年(...

イチローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android