普及版 字通 「盍」の読み・字形・画数・意味
盍
10画
[字訓] おおう・あう・なんぞ
[説文解字]
[字形] 象形
器の上に蓋(ふた)をする形。〔説文〕五上に「(おほ)ふなり」と訓し、「血に從ひ、大(だい)聲なり」とするが声が合わず、器蓋全体の象形である。〔段注〕に「ふものは必ず下より大なり」と説くが、臆説にすぎない。去の上部は蓋の鈕(ちゆう)(つまみ)の形。「なんぞ」は盍を何不(かふ)の二音によみ、反語とするもので、下に動詞の語を伴う。
[訓義]
1. おおう、ふたする、ふた。
2. あう、上下相合う。
3. なんぞ、なんぞ~せざる。
4. 蓋と通じ用いる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕盍 ナゾ・イカゾ・アラズ・ナンゾ・イトコソ・イカデ・アフ 〔字鏡集〕盍 ナンゾ・イトコソ・イカデ・アラズ・アフ・イカンゾ(~)ザル・イツクシブ・イナヤ・ホロブ
[声系]
〔説文〕に盍声として・・・・・闔など八字を収める。は酒器、は多言、は石の相磨する音をいう。盍の声義をとるものと、擬声音をとるものとの二系がある。
[語系]
盍・闔hapは同声。合hpは声の近い語である。また何hai、曷・(害)hat、胡haはみな疑問詞に用いる。このうち曷は曰(えつ)(祝詞)と(かい)(屍骨の象)とに従い、呵責してその祈るところの実現を求める意で、「何ぞ~」と呵責する意があって、この系統の語の本字。他はおおむね仮借通用の字とみてよい。
[熟語]
盍▶・盍稚▶・盍不▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報