日本大百科全書(ニッポニカ) 「直交行列」の意味・わかりやすい解説
直交行列
ちょっこうぎょうれつ
Pをn次の正方行列で、成分は実数であるとする。Pの転置行列をtPと書く。
tPP=E (Eはn次単位行列)
が成り立つとき、Pは(実)直交行列であるといわれる。二次の直交行列はすべて
の形に表される。
n項縦ベクトルの全体をRnと記す。Pがn次直交行列であるとき、任意のn項縦ベクトルxに対してPxを対応させる写像TPを(Pに対応する)Rnの直交変換という。
TP(x)=Px (x∈Rn)
直交変換はRnの内積と距離を変えない。逆にRnの内積(したがって距離)を不変にするような線形変換は直交変換である。
Aが実対称行列であるとする。すなわちAの(i,j)成分をaijとするとき、aijは実数で、
aji=aij (i,j=1,2,……,n)
が成り立つものとする。このとき直交行列Pをうまくとれば
と表すことができる。右辺の行列の主対角線上の成分以外の成分はすべてゼロであるものとする。
[足立恒雄]