矢島城下(読み)やしまじようか

日本歴史地名大系 「矢島城下」の解説

矢島城下
やしまじようか

[現在地名]矢島町矢島町

北西流する子吉こよし川上流左岸にあり、荒沢あらさわ川に沿って狭い平地が広がる。

寛永一七年(一六四〇)生駒壱岐守高俊が一万石を拝領し、矢島藩創設以来、廃藩置県までの藩庁所在地。

矢島はかつて津雲出つくもで郷とよばれたらしく、元徳三年(一三三一)の鳥海山銅器識文中に「奉鋳於羽州由利郡津雲出郷十二神将」とある。この五〇年後の鳥海山大権現縁起(由利郡中世史考)に「仁王五十六代清和天皇朝貞観十二庚寅、醍醐之聖宝尊師津雲出郷より再興し給ふ、矢島の峰中是也」とあり、矢島すなわち津雲出郷としている。

矢島氏入部当時の規模は不明だが、年代不明の矢島絵図(秋田県庁蔵)によれば、子吉川に臨む鳥海山東麓の舌状台地の突端部に陣屋を設定し、その頸部に侍屋敷を置き、台地下にたて町・田中たなか町・七日なのか町などの外町とまちを置いた。

菅原太郎右衛門由緒書(生駒藩史)に「寛永十七年八月より高俊公に仕へ、御代官役を勤め、後町奉行となり」とあり、二代高清の万治年間(一六五八―六一)までには町奉行が置かれていたと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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