研究資金(読み)けんきゅうしきん

大学事典 「研究資金」の解説

研究資金
けんきゅうしきん

大学の研究活動に用いられる公的資金(研究費)は,大きく分けて,大学などの機関に対して定常的に配分される基盤的資金(一般大学資金やコア・ファンディングとも呼ばれる)と,個別の研究者・グループの研究計画へ配分されるプロジェクト資金(あるいは直接政府資金)がある。後者審査を通じて配分されることが多く,競争的資金とも呼ばれる。国によりこれらの資金の構成比は異なり,アメリカ合衆国はプロジェクト資金が中心であるが,欧州諸国は基盤的資金が多い傾向がある。しかし近年,多くの国で研究費の効率性や説明責任への要求が高まり,プロジェクト資金に比重が移動している。日本では,国立大学への基盤的経費である運営費交付金(日本)が2004年の法人化以降,毎年1%程度減少した一方,競争的資金の総額は増加してきた。その影響として,若手人材の雇用や研究設備の維持などの研究基盤への支出が細っていることが問題となっている。これらの公的資金以外にも,民間企業や非営利団体からの共同・受託研究費や奨学寄付金も研究資金としての重要性を増しており,公的資金の種類(資金制度)の増加ともあわせて,大学の研究資金源は多様化が進んでいる。
著者: 林隆之

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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