改訂新版 世界大百科事典 「硬実」の意味・わかりやすい解説
硬実 (こうじつ)
hard seed
hard grain
成熟した種子で,しかも外的条件が発芽に好適でありながら,種皮が硬く水分を通過させないため発芽できない性質をもつ種子をいう。硬粒,不透性種子ともいう。休眠種子の一種である。ダイズ,インゲン,アカクローバー,レンゲソウ,アルファルファなどマメ科植物の,とくに小型種子で生ずることが多い。硬実は遺伝によって引き起こされる場合が多い。組織的には種皮の構造,ケイ酸含量の増加などがあげられる。環境もまた硬実の誘因となり,乾燥地または乾燥時に生産された種子は,湿潤地または湿潤時に生産された種子に比べ硬実になりやすい。硬実種子を発芽させるためには,あらかじめ十分に水に浸すこと,長期間外気にさらすこと,人為的に種皮を損傷させることなどの方法がある。
執筆者:西尾 敏彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報