磁鉄鉱系列(読み)じてっこうけいれつ(英語表記)magnetite series

岩石学辞典 「磁鉄鉱系列」の解説

磁鉄鉱系列

石原は顕微鏡観察から花崗岩類を磁鉄鉱系列とチタン鉄鉱系列(ilmenite series)に区分した.これは一般の顕微鏡観察で磁鉄鉱が一粒でも認められるか否かで区分する.磁鉄鉱系列の花崗岩には0.1~2%の磁鉄鉱とごく少量のチタン鉄鉱が含まれ,チタン鉄鉱系列花崗岩には0.1%以下のチタン鉄鉱が伴われる.両者はMg-Fe珪酸塩鉱物とFe-Ti酸化鉱物の量比が著しく異なり,チタン鉄鉱系列花崗岩ではFe-Ti酸化鉱物が欠ける系列である[Ishihara : 1977].岩体としての判定は両系列の出現頻度により求め,岩体中の磁鉄鉱系の観察数がチタン鉄鉱系の観察数より多い場合に磁鉄鉱系花崗岩としている[石原,津末 : 1977].実際に反射顕微鏡観察で特定の鉱物がすべての岩体にわたって一粒の有無を判定することは不可能である.その後両者の判定に岩石の帯磁率の測定を用い,磁鉄鉱系列では100×10-6 e.m.u./g以上,チタン鉄鉱系列はそれ以下としたが,岩石の磁性は鉱物の種類や状態でも異なるので,帯磁率による磁鉄鉱の有無の判定は間違いである[鈴木 : 1994].石原はFe-Ti酸化鉱物が欠如しているチタン鉄鉱系列の花崗岩は,磁鉄鉱系列のものより酸素フガシティーが低い条件で形成されたと推論した[Ishihara : 1977].石原は形成時の酸素フガシティーを規制する要因として炭質物によるバッフアーを重視し,H2Oの解離とH2の逸散を考えた.磁鉄鉱系列は炭質物の存在しない深部起源で,チタン鉄鉱系列は炭質物を伴う大陸地殻起源と推測した[Ishihara : 1977].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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