翻訳|magnetite
magnetite
化学組成Fe3O4の鉱物。スピネル族。マグネシオフェライトMgFe2O4,フランクリン鉄鉱ZnFe2 O4,ヤコブス鉱MnFe2O4,トレボライト(trevorite)NiFe2O4とともに磁鉄鉱系列をつくる。さらにマグヘマイトとウルボスピネルをこの系列に加える場合もある。AB2O4中BがFe3+を主とする鉱物であり,Aの位置の元素は通常Feであるが磁鉄鉱の場合は相当量のTiを含むことがある。Feスピネルとも呼ばれるが,これは鉄スピネル(ヘルシナイト)とは違うので注意を要する。スピネル型構造をもつ。これらの鉱物はよく知られているが,トレボライトは稀産で,南アフリカのトランスバールで知られている。磁鉄鉱は逆スピネル構造を有し,Fe3+(Fe2+, Fe3+)O4なる構造式で表される。立方晶形,空間群Fd3m,格子定数a0.8374nm。{111}剝離良好,硬度6,比重5.2。金属光沢,黒色,条痕黒色,フェリ磁性強,良電導体。きわめて薄い切片は半透明,屈折率2.42,反射顕微鏡下で灰色,反射能21(緑),21(橙),21%(赤)。Fe2+を少量のCa・Mnが置換する。MgはFe2+と全域にわたって固溶体をつくる。Fe3+はAl・V・Crがある程度置換する。磁鉄鉱中にTiが入りウルボスピネルFe2TiO4との間に固溶体をつくるが,この場合はR3+:R2+は2:1の比から大きくずれる。しかしこの場合も単位格子中の金属イオンの総数は24個である。磁鉄鉱は最も広く分布している酸化鉱物の一つである。火成岩中のものはTiを相当量含み,その組成が地質温度計に役立つ。酸性火成岩中のもののほうがTi含有量は少ないようである。接触帯に広く分布している。熱変成岩で交代作用を受けない場合,水酸化鉄が還元されて磁鉄鉱になる例が多い。堆積岩中には砕屑鉱物として産出。また隕石中や生体鉱物として走磁性バクテリア中にもみられる。鉄鉱石として赤鉄鉱とともに重要。マケドニアのMagnesiaという地名にちなんで命名されたとも,靴の釘
執筆者:嶋崎 吉彦
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
酸化鉱物の一つで、スピネル族鉱物の一員。鉄の重要な鉱石鉱物。正マグマ性鉱床、変成鉱床、堆積(たいせき)鉱床、漂砂鉱床(いわゆる砂鉄)、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)中などに産するほか、各種火成岩、変成岩、堆積岩、超塩基性岩などの少量成分鉱物としても産する。まれにほとんど磁鉄鉱からなる溶岩の存在も報告されている。自形は八面体、斜方十二面体をはじめ複雑なものが多いが、結晶片岩や超塩基性岩中のものは単純、接触交代鉱床中のものは複雑という傾向がある。
日本で鉱床として多産したものは接触交代鉱床が多く、岩手県の釜石(かまいし)鉱山(閉山)、奥州(おうしゅう)市江刺(えさし)区の赤金(あかがね)鉱山(閉山)、岡山県高梁(たかはし)市川上町山宝(さんぽう)鉱山(1999年金平(きんぴら)鉱山と合併し金平山宝鉱山と改称。備中町)などが有名である。鉄・銅などの硫化物を伴うことが多く、脈石鉱物として共存するものは、正マグマ性鉱床ではチタン鉄鉱、鉄苦土鉱物、蛇紋石など、変成鉱床では石英、角閃(かくせん)石、緑泥石、赤鉄鉱など、接触交代鉱床では方解石、緑簾(りょくれん)石、灰鉄(かいてつ)ざくろ石などである。強い磁性があるとされるが、純粋なものは磁性はない。
[加藤 昭 2017年5月19日]
磁鉄鉱
英名 magnetite
化学式 Fe2+Fe3+2O4
少量成分 Mn,Mg,Ni,Ti,Cr,Al,V,Si
結晶系 等軸
硬度 5.5~6.5
比重 5.20
色 鉄黒
光沢 金属
条痕 黒
劈開 無
(「劈開」の項目を参照)
その他 強磁性
赤鉄鉱とともに鉄の重要な鉱石鉱物。化学組成はFe3O4でFe2⁺とFe3⁺を1:2のモル比で含んでいる。Fe2⁺はMg,Zn,Mn2⁺などによって置換され,Fe3⁺はAl,Cr,Mn3⁺,Vなどによって多少置換される。立方晶系。通常は正八面体,塊状,粒状でもろい。色は黒色ないし黒褐色。不透明,金属光沢。モース硬度5.5~6.5。比重5.175。条痕は黒色。鉱物中で最も強い磁性を示す。火成岩および変成岩の生成温度範囲の大部分で,安定な鉄の酸化鉱物は磁鉄鉱である。したがって,この鉱物は最も広くしかも多量に存在する酸化鉱物の一つである。また,磁鉄鉱は風化に強く,砂鉄鉱床を形成する。主要な産状は次の通りである。(1)火成岩の副成分鉱物として,(2)スウェーデンのキルナ型鉄鉱床,(3)アメリカのニューヨーク州,アディロンダックの斜長岩に伴う鉄・チタン鉱床,(4)接触交代型鉄・銅鉱床(岩手県釜石鉱山など),(5)種々の砂鉄鉱床。
執筆者:津末 昭生
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
Fe3O4.ひし形十二面体または正八面体の結晶として,また粒状または塊状として産出する.立方晶系,空間群 Fd3m.格子定数 a0 = 0.834 nm.単位格子中に8個の基本組成が含まれる.密度5.2 g cm-3.硬度6.金属光沢で不透明,黒色,条痕も黒色.フェリ磁性が強い.鉱物のなかで最強の磁性体.密度が大きいうえに,風化作用に強いため,濃集・堆積して大きな鉱床となることが多い.また,砂鉄としても濃集する.赤鉄鉱とともに鉄の重要な鉱石である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…通常は高炉内に投入して酸化鉄に結合している酸素とその他の脈石分を取り除き,鉄分を溶けた状態の銑鉄として取り出し鋼の原料とする。鉄鉱石を鉱物学の観点から分類すると多種類にのぼるが,製鉄原料として用いられる天然鉱物は赤鉄鉱(ヘマタイト,α‐Fe2O3),磁鉄鉱(マグネタイト,Fe3O4),磁赤鉄鉱(マグヘマイト,γ‐Fe2O3),褐鉄鉱(リモナイト,Fe2O3・nH2O,n=0.5~4)に代表される。とくに赤鉄鉱の産出量が全世界的にみて圧倒的に多く,日本への輸入鉄鉱石の中でもその約80%を占めている。…
※「磁鉄鉱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 春の季節がもうすぐそこまで来ていること。《 季語・冬 》 〔俳諧・俳諧四季部類(1780)〕[初出の実例]「盆栽の橙黄なり春隣〈守水老〉」(出典:春夏秋冬‐冬(1903)〈河東碧梧桐・高...